涼くんと仲直りした後、年末年始は『師走』の言葉通り忙しかった。
年末はギリギリまで仕事。「こんな時期に急いでも業者は休んでいるから意味がない……」と後輩とぼやきながらも、なんとか仕事を納めた。年始は実家に帰った。親戚に「そろそろ、いい人いないの?」と聞かれて、涼くんを思い出したけど、言いづらくて、曖昧に微笑んどいた。別に実家の居心地が悪いわけではない。でも『charmée』が恋しかった。
お正月が終わり、少し特別感を残したまま、日常に戻る。
「明けましておめでとうございます。」
「お、愛さん。いらっしゃい!明けましておめでとうございます。」
「明けましておめでとう…。」
にこにこと迎えてくれる琢磨さん。そして、なぜかぐったりしている涼くん。
「愛さんも試作品、食べていってよ。」
琢磨さんが椅子をひいて、私を座らせる。
「あぁ、座っちまった…。」
涼くんがつぶやいた。え?何が始まるの?
「どうぞ。新作のパンケーキ。期間限定の予定なんだ。」
目の前に出されたパンケーキを見る。普通のパンケーキだ。一口食べた。
「わっ!このパンケーキ、もっちもち!」
「そう!お餅をね、入れてるんだ〜!知り合いの業者からいっぱいもらってね。お餅がなくなるまでの特別メニュー!」
琢磨さんがうれしそうに解説してくれる。もちもちとした食感がいい。普通のパンケーキより好きかもしれない。
「喜んでいられるのも今のうち……。」
涼くんが言った。
「どのソースが一番合うかなぁ。お餅が入ってるし、和風?抹茶、黒蜜?洋風も合うには合うよね。シンプルにメープルシロップ?キャラメルソースもあるな。それとも苺、チョコ……」
「え?え、え、え……」
琢磨さんはそう言いながら、どんどんとパンケーキを並べていく。私が驚きの声を出してるうちに、様々なソースがかかったパンケーキでテーブルがカラフルになり、埋まった。
「た、食べ切れるかな……。」
「オレみたいになる前に逃げて……。」
涼くんが言った。
「全部感想聞かせてね!」
笑顔で琢磨さんが言う。満面の笑みの琢磨さんに、初めて恐怖を感じた。
「ご馳走様でした……!」
「ありがとう〜!どれが良かった?」
「黒蜜とキャラメルソースが特に美味しかったですかね?」
「なるほど……。じゃあ、2種類にしようかな。ねぇ、涼は?どれが好き?」
琢磨さんが、まだ机に伏せてぐったりしている涼くんを揺さぶった。
「うぇぷ……揺らすなよぉ……。」
「情けないなぁ。愛さん、ピンピンしてるよ?」
琢磨さんが私を指差した。確かに私はお腹いっぱいだけど、比較的元気だ。
「私、結構食べるので……。それに何か食べようと思って、お腹空かせて来てますし。」
「ゔゔゔ……」
涼くんがうめく。
「ところで、涼、あと2ヶ月で誕生日だね。ケーキ何がいい?苺?チョコ?チーズケーキとか?」
琢磨さんが思い出したように、涼くんに言った。
「餅の入ってねぇケーキ……」
涼くんは力なく言った。もう今はケーキも想像したくないんじゃないかな……。
「……流石にその頃にはお餅も残ってないよ。」
私がそう言うと、涼くんはそれを願うようにガクガクと頷いた。
パンケーキを食べた後、琢磨さんに『お餅パンケーキ』のメニューのデザインを相談された。試食だからお代はいらないと言われていたので、それならデザインしますよ、と言い、紙をもらって、イメージを描く。
「ねぇ、デートどこ行く?」
「ん〜……え?」
私が考えていたら、キャパオーバーから復活した涼くんが私に声をかけた。
「約束でしょ。誕生日デート。」
「おぁ。」
「何その返事。」
これまでは「はいはい。」と言っていたけど、涼くんを好きになった私からすると、誕生日デートって私もプレゼントもらっているようなものじゃないか…?そう思った。
「え、と……。」
「夜は『charmée』でご飯食べようよ。琢磨が準備してくれるらしいし。」
ニコ、とうれしそうに涼くんが笑う。机に突っ伏しながらも私を見るそのキャラメル色は、柔らかく溶けたような甘さで、私にとってどんなパンケーキよりも甘く甘く胸がいっぱいになるものだった。
年末はギリギリまで仕事。「こんな時期に急いでも業者は休んでいるから意味がない……」と後輩とぼやきながらも、なんとか仕事を納めた。年始は実家に帰った。親戚に「そろそろ、いい人いないの?」と聞かれて、涼くんを思い出したけど、言いづらくて、曖昧に微笑んどいた。別に実家の居心地が悪いわけではない。でも『charmée』が恋しかった。
お正月が終わり、少し特別感を残したまま、日常に戻る。
「明けましておめでとうございます。」
「お、愛さん。いらっしゃい!明けましておめでとうございます。」
「明けましておめでとう…。」
にこにこと迎えてくれる琢磨さん。そして、なぜかぐったりしている涼くん。
「愛さんも試作品、食べていってよ。」
琢磨さんが椅子をひいて、私を座らせる。
「あぁ、座っちまった…。」
涼くんがつぶやいた。え?何が始まるの?
「どうぞ。新作のパンケーキ。期間限定の予定なんだ。」
目の前に出されたパンケーキを見る。普通のパンケーキだ。一口食べた。
「わっ!このパンケーキ、もっちもち!」
「そう!お餅をね、入れてるんだ〜!知り合いの業者からいっぱいもらってね。お餅がなくなるまでの特別メニュー!」
琢磨さんがうれしそうに解説してくれる。もちもちとした食感がいい。普通のパンケーキより好きかもしれない。
「喜んでいられるのも今のうち……。」
涼くんが言った。
「どのソースが一番合うかなぁ。お餅が入ってるし、和風?抹茶、黒蜜?洋風も合うには合うよね。シンプルにメープルシロップ?キャラメルソースもあるな。それとも苺、チョコ……」
「え?え、え、え……」
琢磨さんはそう言いながら、どんどんとパンケーキを並べていく。私が驚きの声を出してるうちに、様々なソースがかかったパンケーキでテーブルがカラフルになり、埋まった。
「た、食べ切れるかな……。」
「オレみたいになる前に逃げて……。」
涼くんが言った。
「全部感想聞かせてね!」
笑顔で琢磨さんが言う。満面の笑みの琢磨さんに、初めて恐怖を感じた。
「ご馳走様でした……!」
「ありがとう〜!どれが良かった?」
「黒蜜とキャラメルソースが特に美味しかったですかね?」
「なるほど……。じゃあ、2種類にしようかな。ねぇ、涼は?どれが好き?」
琢磨さんが、まだ机に伏せてぐったりしている涼くんを揺さぶった。
「うぇぷ……揺らすなよぉ……。」
「情けないなぁ。愛さん、ピンピンしてるよ?」
琢磨さんが私を指差した。確かに私はお腹いっぱいだけど、比較的元気だ。
「私、結構食べるので……。それに何か食べようと思って、お腹空かせて来てますし。」
「ゔゔゔ……」
涼くんがうめく。
「ところで、涼、あと2ヶ月で誕生日だね。ケーキ何がいい?苺?チョコ?チーズケーキとか?」
琢磨さんが思い出したように、涼くんに言った。
「餅の入ってねぇケーキ……」
涼くんは力なく言った。もう今はケーキも想像したくないんじゃないかな……。
「……流石にその頃にはお餅も残ってないよ。」
私がそう言うと、涼くんはそれを願うようにガクガクと頷いた。
パンケーキを食べた後、琢磨さんに『お餅パンケーキ』のメニューのデザインを相談された。試食だからお代はいらないと言われていたので、それならデザインしますよ、と言い、紙をもらって、イメージを描く。
「ねぇ、デートどこ行く?」
「ん〜……え?」
私が考えていたら、キャパオーバーから復活した涼くんが私に声をかけた。
「約束でしょ。誕生日デート。」
「おぁ。」
「何その返事。」
これまでは「はいはい。」と言っていたけど、涼くんを好きになった私からすると、誕生日デートって私もプレゼントもらっているようなものじゃないか…?そう思った。
「え、と……。」
「夜は『charmée』でご飯食べようよ。琢磨が準備してくれるらしいし。」
ニコ、とうれしそうに涼くんが笑う。机に突っ伏しながらも私を見るそのキャラメル色は、柔らかく溶けたような甘さで、私にとってどんなパンケーキよりも甘く甘く胸がいっぱいになるものだった。



