その見透かすような瞳は嫌いなのは、オレがガキだから?
オレは、久しぶりに『charmée』に来た。そりゃ、気まずいけど。オレと愛さんの問題を琢磨にぶつけるのは違う気がするし。それに、愛さんと琢磨がどうなったのか、聞ける気はしないけど、気にはなっていた。
「いらっしゃい。」
琢磨は、それ以外何も言わねぇ。いつも通りにキャラメルプリンを出してくる。オレはそれを無言で食べるが、いつもは甘いそれが、なんだか味気ない気がした。
「……。」
昼下がり、賑わう時間を避けた平日の夕方の『charmée』は、オレと琢磨、それと流れるBGMだけ。気まずくて、でも何も言い出せずにいたら、琢磨がオレの隣に座った。
「…何だよ。」
「僕、振られちゃった。」
あまり傷ついてない軽い言い方。オレは眉を顰めた。
「…は?」
「困っちゃうよね。愛さん、クリスマスに走って怪我してまで会いに行きたかった男がいるみたい。」
「は?え?」
「怪我してるし、なんか落ち込んでるみたいだし?そんで、お前は勝手に怒って帰っちゃったから。慰めて僕のものにしちゃおっかな〜って思ってたのに。失敗しちゃった。」
ペラペラと話す琢磨。オレは、その自分勝手な言い方に、カッとなった。
「おまっ!ふざけんなよ!」
立ち上がり、琢磨の胸ぐらを掴む。胸ぐらを掴まれてる癖に、琢磨は真っ直ぐオレを見ていた。
「ふざけてんのはお前じゃないの?愛さんに一方的に好きって言って、一方的に怒って…。愛さんが何が不安で、何に悩んでて、何でお前の気持ちに答えられないか、考えたことないわけ?」
全て見透かすようなその目に、オレはグッと言葉が詰まり、握っていた胸ぐらを離す。ふぅ…と琢磨は服を整えた。
「だから、お前はガキなんだよ。」
その一言が、オレに深く突き刺さった。ガッと椅子に八つ当たりながら座る。
「…どうすればいいと思う?」
「えぇ?僕に聞く?」
オレの言葉に、琢磨が驚きながらも面倒くさそうな顔をした。
「琢磨はさ…オレより大人だし、愛さんだって、琢磨には心許してる感じするし。オレは愛さんの不安をどうやって取っ払ったらいいか分かんねぇし…。」
琢磨はオレを見て、少し考えてから口を開いた。
「う〜ん…お前はさ、『今から今から』って言いながら勢いがよすぎるんじゃない?シンガーソングライターの夢は、お前一人でも走れるけどさ。恋愛は、お前だけじゃだめでしょ。向かい合ったり、並んだりして…いや、振られたばっかの僕じゃ説得力ないな。」
途中まで話していた琢磨が、自分でつっこんだ。
「オレ一人じゃなくて…。」
「そうそう。愛さんは、自分の気持ちを確認するのに時間がいる人だと思うよ。」
「……確かにな。オレ、決めたわ。」
「ん?うん?」
何が?という顔をした琢磨。オレは今すぐに愛さんに会いたくなった。
「なぁ、今日、愛さん来るかな?」
「来るかは分からないけど、そこを通るんじゃない?」
窓から愛さんの帰り道を指さす琢磨。
「おっし、オレ、時間までここで待つわ。」
「えぇ…。結局勢いあるじゃん?…まぁ、考えがあるなら…いいけど。」
琢磨が、オレが食べていたキャラメルプリンを一口食べる。
「あ!オレが食べてたのに!」
「あ、あとさ。何を勘違いしたか知らないけど、僕、愛さんに何もしてないからね?」
「え?マジ?」
「マジマジ。でも、キスくらいしちゃえばよかった。」
「おい!ふざけんな!」
ちゃっかりとした琢磨の言葉にオレが叫ぶ。そんなオレを気にすることなく、琢磨は小さくつぶやいた。
「あ〜ぁ、結局、僕は一人、箱の中ってことだ。」
その言葉はオレにはよく分からなかった。
「あ?箱?箱の中はオレじゃん?」
「ライブハウスのことじゃないよ。涼には分からない話。」
「うん?」
琢磨がそう言って笑うので、オレは適当に頷いた。
オレは、久しぶりに『charmée』に来た。そりゃ、気まずいけど。オレと愛さんの問題を琢磨にぶつけるのは違う気がするし。それに、愛さんと琢磨がどうなったのか、聞ける気はしないけど、気にはなっていた。
「いらっしゃい。」
琢磨は、それ以外何も言わねぇ。いつも通りにキャラメルプリンを出してくる。オレはそれを無言で食べるが、いつもは甘いそれが、なんだか味気ない気がした。
「……。」
昼下がり、賑わう時間を避けた平日の夕方の『charmée』は、オレと琢磨、それと流れるBGMだけ。気まずくて、でも何も言い出せずにいたら、琢磨がオレの隣に座った。
「…何だよ。」
「僕、振られちゃった。」
あまり傷ついてない軽い言い方。オレは眉を顰めた。
「…は?」
「困っちゃうよね。愛さん、クリスマスに走って怪我してまで会いに行きたかった男がいるみたい。」
「は?え?」
「怪我してるし、なんか落ち込んでるみたいだし?そんで、お前は勝手に怒って帰っちゃったから。慰めて僕のものにしちゃおっかな〜って思ってたのに。失敗しちゃった。」
ペラペラと話す琢磨。オレは、その自分勝手な言い方に、カッとなった。
「おまっ!ふざけんなよ!」
立ち上がり、琢磨の胸ぐらを掴む。胸ぐらを掴まれてる癖に、琢磨は真っ直ぐオレを見ていた。
「ふざけてんのはお前じゃないの?愛さんに一方的に好きって言って、一方的に怒って…。愛さんが何が不安で、何に悩んでて、何でお前の気持ちに答えられないか、考えたことないわけ?」
全て見透かすようなその目に、オレはグッと言葉が詰まり、握っていた胸ぐらを離す。ふぅ…と琢磨は服を整えた。
「だから、お前はガキなんだよ。」
その一言が、オレに深く突き刺さった。ガッと椅子に八つ当たりながら座る。
「…どうすればいいと思う?」
「えぇ?僕に聞く?」
オレの言葉に、琢磨が驚きながらも面倒くさそうな顔をした。
「琢磨はさ…オレより大人だし、愛さんだって、琢磨には心許してる感じするし。オレは愛さんの不安をどうやって取っ払ったらいいか分かんねぇし…。」
琢磨はオレを見て、少し考えてから口を開いた。
「う〜ん…お前はさ、『今から今から』って言いながら勢いがよすぎるんじゃない?シンガーソングライターの夢は、お前一人でも走れるけどさ。恋愛は、お前だけじゃだめでしょ。向かい合ったり、並んだりして…いや、振られたばっかの僕じゃ説得力ないな。」
途中まで話していた琢磨が、自分でつっこんだ。
「オレ一人じゃなくて…。」
「そうそう。愛さんは、自分の気持ちを確認するのに時間がいる人だと思うよ。」
「……確かにな。オレ、決めたわ。」
「ん?うん?」
何が?という顔をした琢磨。オレは今すぐに愛さんに会いたくなった。
「なぁ、今日、愛さん来るかな?」
「来るかは分からないけど、そこを通るんじゃない?」
窓から愛さんの帰り道を指さす琢磨。
「おっし、オレ、時間までここで待つわ。」
「えぇ…。結局勢いあるじゃん?…まぁ、考えがあるなら…いいけど。」
琢磨が、オレが食べていたキャラメルプリンを一口食べる。
「あ!オレが食べてたのに!」
「あ、あとさ。何を勘違いしたか知らないけど、僕、愛さんに何もしてないからね?」
「え?マジ?」
「マジマジ。でも、キスくらいしちゃえばよかった。」
「おい!ふざけんな!」
ちゃっかりとした琢磨の言葉にオレが叫ぶ。そんなオレを気にすることなく、琢磨は小さくつぶやいた。
「あ〜ぁ、結局、僕は一人、箱の中ってことだ。」
その言葉はオレにはよく分からなかった。
「あ?箱?箱の中はオレじゃん?」
「ライブハウスのことじゃないよ。涼には分からない話。」
「うん?」
琢磨がそう言って笑うので、オレは適当に頷いた。



