【独身干物女が、幸せに暮らす秘訣。】
゛みなさん、こんばんは。
ブログを書いてみることにしました。
開いてくださった皆さん、あたしと繋がったのはご縁があったからだと思います。
聞いてください。
あたし、独身女性OL、ついに30歳を迎えてしまいました。
人は必ず、心のどこかで幸せを求め日々を生きている。
不幸になりたい人なんているのだろうか。
と、あたしは常に考えています。
当たり前のように好きな人と恋に落ちて愛し合い、そしてその先に結婚する未来があると。
そう思い込んだまま30歳を迎えた独身女性は、割とどこにでもいる。
なぜそう思うか?
それは、あたしがそうだから。゛
゛「お誕生日おめでとう!志穂」
そう誕生日を祝ってくれる大事な親友、富田 茉莉。
あたし萩原 志穂、彼氏は高校の時二年間付き合った彼が最初で最後。
そのまま恋愛結婚するんだと思ってた。
高校の卒業式でまさか別れを告げられるとは思ってもなかったね。
毎週日曜日に必ず会う約束をしていて仲がいいと思っていた、二年と三ヶ月たつあの日までは。゛
それもカラオケの個室で歌ってるときにだよ?
「別れよう、俺たち」
なんて、普通もっとしっかりした場面で言わない?
そんなたった今思いつきました!みたいに言わなくても。
「今なんて言った?」
歌ってた曲を演奏停止してからマイクを置き、当然理由を聞いた。
『ごめん、なんか好きかどうかわからなくなった、冷めたというより友達でいいかなって、どうかな』
今でも覚えてる。
聞き間違いであってほしかった。
言い訳みたいに別れを告げられることってあるんだって初めて知った。
今は出会いすらなく親友の茉莉とこうして誕生日を迎え、彼氏の『か』の字すらなく独身のまま30歳を迎えた。
もしかしてあたし、このままだと一生独身?
孤独で死ぬのかな、あたし。
゛「なーに暗い顔してんの」
茉莉はいつもあたしを励ましてくれる。
「いや、ね?このまま独身なのかなって、あたしたち」
二人の共通点は独身だということ。゛
そう言いながら茉莉が切り分けてくれた誕生日ケーキを割りばしで口に運ぶ。
「そうかもだねぇ、だって、彼すらいないんだし」
茉莉は紙コップを熱そうに持ちながら紅茶を飲み、そう口にした。
゛二人そろって彼氏なしの同じ30歳。
同級生はほとんど結婚していて、出産を経験し子育てしている人が多い。
「みんなどうやって恋愛してんのかな」
あたしにはわからなかったんです。゛
゛今どきマッチングアプリとかあるけど、見知らぬ人と自己紹介し合って好きな食べ物とか趣味とか?
お互い言いながらお酒飲んだり、ご飯食べながら話してもワンナイトで終わってしまうのは、きっと軽い女だと思われてて本命になれないような事実が、あたしが原因でもあるんだろうな。゛
゛あたしのだらしない生活は部屋の中を見れば一目瞭然。
着た服は脱ぎ散らかしたまま、汚れた食器はシンクで水に浸かったまま。
カップラーメンの包装や蓋は床に転がったまま。
今日の誕生日ケーキだって、切るためにはまず油がこびりついた包丁を洗うことからスタートした。
そんなだらしなさにも引かずに仲良くしてくれてる茉莉には感謝してもしきれない。゛
゛部屋が綺麗な茉莉は、定期的にあたしの部屋に来て大掃除をしてくれる。
それだけで救われてる。
でも、茉莉は彼氏いてもおかしくないぐらい完璧に見えるけど、茉莉が出会う人は皆浮気したりそもそも浮気相手だったり子持ちのバツイチだったりで男運がないらしい。
そりゃ急に子育てしてほしいなんて言われたら戸惑うよね。
想像するだけで、あたしの幼稚な思考回路じゃ他人の子供を育てる気にはなれない。゛
゛あくまで他人だと思ってるから、いけないのか。
それとも片付けができないことが、幼稚だと思う理由なのか。
はっきりと断言はできない。
こんなあたしを拾ってくれる男は相当心が広くないと、あたしを受け付けられないだろうな。゛
「まあ、おいしいケーキはいつでも食べれるし家事ができなくたってあたし一人なら困らないし、新たに関係値築くのも大変だしなー!ふぁぁ…食べた食べたぁ」
こうしてあたしは脱ぎ散らかした服の上に真っ先に寝転ぶ。
「あ、まーたすぐ寝転んで、牛になるよって言われなかった?」
それを見た茉莉は軽くあたしのお腹を二回叩くと、食べ終えて生クリームのついた割りばしと紙皿を重ねて立ち上がり、ごみ箱に捨てた。
「いいのいいの、だってあたし誕生日だし?」
そうあたしが言うと、しょうがないなという顔をしてケーキの箱を畳んで捨てたり、べたべたの包丁をきれいに洗い始めた。
誰かに言われなくても、自分のわがままさには呆れている。
さすがのあたしも茉莉に申し訳なくなってきて、「茉莉?何かやろうか」なんて声をかけたものの「散らかるから座ってて」と言われた。
「ねえ、茉莉?あたしの魅力ってどこ?」
「志穂の魅力かぁ。あるかなぁ、なーんて冗談冗談いろいろあるよ」
茉莉はあたしの魅力を語り始めた。
・笑顔がかわいい
・甘え上手
・元気をくれる
・悩みを受け止めて吹き飛ばしてくれる
・支えになってくれる
「こんなとこかな」
意外と出てきた内容は褒め言葉が多く、頬が緩んだ。
あたしのことを一番わかってくれるのは、彼氏でも旦那でもなく茉莉だ。
「あ、いいこと思いついた!一緒に住まない?」
「やだね。いい距離感だよこれが」
即答されたのは明らかにあたしが部屋が片付けできなことが理由だと、すぐ理解することができた。
゛家の中ではこれでも、仕事はきちんとやっていると思う。
会社に着いたら切り替えてる。
パソコンを目の前にしたら、その日やることのリストを付箋で画面に貼る。
それから一つずつ仕事をこなしていく。
定時で帰ることと、仕事を残さないで終わらせること。
それだけは家の中と違ってきっぱりと決めている。゛
その反動からか家のことまで手が回らないんだよね。
でもさ、一人暮らしの人ってみんなこうでしょ?
「お願いだからそうだと言って!」
「え、なに志穂。急にどうしたの」
「みんな茉莉みたいに、いつみても部屋が綺麗なのかなーって。あたし仕事とプライベートは全くの別物だと感じてて、同じようにテキパキ家でも料理して掃除して洗濯?もう無理、いくら考えても考えてもあたしには無理」
「私も、志穂と同じく仕事とプライベートは別だと考えてるよー?
仕事で疲れてるのに家に帰ったら汚い部屋だなんて逆に疲れちゃはない?私はそれが嫌だから綺麗にしてる。まあでも、たまにはね?部屋が散らかるときもあるよ?仕事とプライベート同じように気張ってたらそれこそ休める居場所がないじゃない」
「たしかに?じゃあ、あたしは一生このままでいいや。仕事さえしっかりしてれば給料入ってくるし。あとは好きなスイーツ食べ歩いて、彼氏なんていなくてもこのまま気楽にいこーっと」
そう口にした瞬間、あたしの携帯の着信音が鳴った。
母からだ。
「ごめん茉莉、お母さんから電話出てもい?」
「いいよいいよ出な、きっと祝いの言葉だよ」
「そうだといいけど、あ、もしもしお母さん?久しぶり……」
母からの電話は、誕生日の祝いだけじゃなくいい加減彼氏はできたかとか、いつになっら孫を見せてくれるのとかそんなんばっかり。
「ごめんね?電話長引いて、孫がほしいんだってお母さん、あたしにできるわけないのにー」
「まぁ私たち30歳だし、親も焦ってんじゃない?ほんとに焦るのは普通本人だけど、こんな調子じゃねぇ…
しーほ、また寝転んでさ帰るよ、あたし」
゛あたしは何もできないわけじゃない。
やるときはやる、仕事は仕事、責任もってやってる。
だからって家のことまでやらなくても、誰も困らない。
あたしはこのままが幸せ。゛
「えー!帰るの!?夜までいてよ、あ、お酒なら冷蔵庫にあるよ、飲もうよー!あ、それかシュークリーム買いに行かない?」
あたしはシュークリームが大好物で、行きつけのシュークリームのお店がある。
「まぁいいけど?じゃ、その髪と服装早くどうにかしてくれない?」
「どうにかって?」
姿見で自分を見ると前髪にカーラーをつけて、緑色のロングTシャツに短パン。
さすがにこれで外に出るのはまずいか。
「3分ちょうだい、すぐ着替えるから!えっと、ふくふく…こっちにズボンがあった気が…、あれ、ない?ここに置いたはずなのに………」
あたしはやっぱり片付けができない。
本当は片付けができたらこんなことにはならないはずなんだけどね。
「あ〜、私のシュークリーム、…間違えた、ズボンねズボン、あ、あった!」
急いで着替えた私は、カーラーを外し軽く鏡を見て髪を手で整える。
色つきの薬用リップを塗ってアイブロウだけ書くと、準備を終えた。
「約20分かかってるけど?どこが3分なのよ。片付けてればこんなことにはならないのに、服探す時間って損じゃない?」
「あたしも分かってはいるんだけどねー、やっぱりあたしと一緒に住まない!?」
だめかな?2度目のお誘い。
私は茉莉と住みたいよ〜。
「それ、私に全てやらせる気じゃない?まぁ、いいよ。そんなに言うなら一緒に住んであげる」
「え、いいの!?ほんと!?」
「いいから行くよ、シュークリーム食べるんでしょ」
そう言って、スタスタと玄関に行き靴を履き始める。
「ちょ、ちょっと待って!今行くから!財布財布…あれ?ない…カバンの中にない!?」
「もう志穂ったら、ほんと世話が焼けるよね。まあ可愛いからいいんだけど、最後どこで使ったか覚えてる?」
そう言って履いたはずの靴を脱ぎ、部屋に戻ってくる茉莉は優しい。
「茉莉ぃ、えっとね。たしか昨日コンビニでパスタ買って、コンビニの袋に一緒に入れ…た。あ、袋!袋の中だ!」
「もしかしてこのベットの上に置いてある袋?」
「そう!これだ、あったあった〜、じゃあ行こーう!」
無事にシュークリームを買いに出かけ、食べてからおひらきになった。
次の日、普通に仕事用のアラームで早めに起き、なんとか準備をして家を出た。
゛電車に乗って会社に向かう途中、会社の最寄りの駅のコンビニでサンドイッチとシュークリームを買う。
今日はレタスとチーズの入ったサンドイッチ。
いつもご飯をコンビニで買ってから出社。゛
゛お弁当なんて作れないからね。
それに、ただでさえ準備遅いのにお弁当なんて作ったらそれだけで1日終わっちゃうよ。゛
゛「おはようございます」
この一言であたしはスイッチが入る。
仕事モードを入れるために、出社後長い髪を後ろでキツめに結ぶ。
そうすることで、引き締まる感じがして気持ちが切り替わる。
椅子に座り付箋を取ると付箋にやることリストを作り優先順位を決め取り掛かる。
初めに決めることで整理され、効率よく仕事ができる。
仕事内容によっては、タイマーをつけたりもする。
こうして、いつも定時で終わらせることができる。
「おつかれさまです」゛
゛「さーて、今日はコーヒーでも持ち帰って、昨日買ってもらったシュークリームでもたーべよ」
今日も残業なし、家帰って好きなドラマ見ながらシュークリームを食べる。
これ以上、幸せなことってある?
そりゃあさ、彼氏がいたら楽しいかもしれない。
実際、いた頃は楽しかったし、でも辛いこともあった。
喧嘩したり、価値観が合わないところで意見ぶつけ合っても、所詮他人。
価値観の合う友達とだけ会って、無理して恋人作る必要なんてなくない?
あー、でもやっぱり同じ歳の子が幸せそうな家庭築いてるところを見ると、ちょっと寂しい気はするけど。゛
゛みなさん、こんばんは。
ブログを書いてみることにしました。
開いてくださった皆さん、あたしと繋がったのはご縁があったからだと思います。
聞いてください。
あたし、独身女性OL、ついに30歳を迎えてしまいました。
人は必ず、心のどこかで幸せを求め日々を生きている。
不幸になりたい人なんているのだろうか。
と、あたしは常に考えています。
当たり前のように好きな人と恋に落ちて愛し合い、そしてその先に結婚する未来があると。
そう思い込んだまま30歳を迎えた独身女性は、割とどこにでもいる。
なぜそう思うか?
それは、あたしがそうだから。゛
゛「お誕生日おめでとう!志穂」
そう誕生日を祝ってくれる大事な親友、富田 茉莉。
あたし萩原 志穂、彼氏は高校の時二年間付き合った彼が最初で最後。
そのまま恋愛結婚するんだと思ってた。
高校の卒業式でまさか別れを告げられるとは思ってもなかったね。
毎週日曜日に必ず会う約束をしていて仲がいいと思っていた、二年と三ヶ月たつあの日までは。゛
それもカラオケの個室で歌ってるときにだよ?
「別れよう、俺たち」
なんて、普通もっとしっかりした場面で言わない?
そんなたった今思いつきました!みたいに言わなくても。
「今なんて言った?」
歌ってた曲を演奏停止してからマイクを置き、当然理由を聞いた。
『ごめん、なんか好きかどうかわからなくなった、冷めたというより友達でいいかなって、どうかな』
今でも覚えてる。
聞き間違いであってほしかった。
言い訳みたいに別れを告げられることってあるんだって初めて知った。
今は出会いすらなく親友の茉莉とこうして誕生日を迎え、彼氏の『か』の字すらなく独身のまま30歳を迎えた。
もしかしてあたし、このままだと一生独身?
孤独で死ぬのかな、あたし。
゛「なーに暗い顔してんの」
茉莉はいつもあたしを励ましてくれる。
「いや、ね?このまま独身なのかなって、あたしたち」
二人の共通点は独身だということ。゛
そう言いながら茉莉が切り分けてくれた誕生日ケーキを割りばしで口に運ぶ。
「そうかもだねぇ、だって、彼すらいないんだし」
茉莉は紙コップを熱そうに持ちながら紅茶を飲み、そう口にした。
゛二人そろって彼氏なしの同じ30歳。
同級生はほとんど結婚していて、出産を経験し子育てしている人が多い。
「みんなどうやって恋愛してんのかな」
あたしにはわからなかったんです。゛
゛今どきマッチングアプリとかあるけど、見知らぬ人と自己紹介し合って好きな食べ物とか趣味とか?
お互い言いながらお酒飲んだり、ご飯食べながら話してもワンナイトで終わってしまうのは、きっと軽い女だと思われてて本命になれないような事実が、あたしが原因でもあるんだろうな。゛
゛あたしのだらしない生活は部屋の中を見れば一目瞭然。
着た服は脱ぎ散らかしたまま、汚れた食器はシンクで水に浸かったまま。
カップラーメンの包装や蓋は床に転がったまま。
今日の誕生日ケーキだって、切るためにはまず油がこびりついた包丁を洗うことからスタートした。
そんなだらしなさにも引かずに仲良くしてくれてる茉莉には感謝してもしきれない。゛
゛部屋が綺麗な茉莉は、定期的にあたしの部屋に来て大掃除をしてくれる。
それだけで救われてる。
でも、茉莉は彼氏いてもおかしくないぐらい完璧に見えるけど、茉莉が出会う人は皆浮気したりそもそも浮気相手だったり子持ちのバツイチだったりで男運がないらしい。
そりゃ急に子育てしてほしいなんて言われたら戸惑うよね。
想像するだけで、あたしの幼稚な思考回路じゃ他人の子供を育てる気にはなれない。゛
゛あくまで他人だと思ってるから、いけないのか。
それとも片付けができないことが、幼稚だと思う理由なのか。
はっきりと断言はできない。
こんなあたしを拾ってくれる男は相当心が広くないと、あたしを受け付けられないだろうな。゛
「まあ、おいしいケーキはいつでも食べれるし家事ができなくたってあたし一人なら困らないし、新たに関係値築くのも大変だしなー!ふぁぁ…食べた食べたぁ」
こうしてあたしは脱ぎ散らかした服の上に真っ先に寝転ぶ。
「あ、まーたすぐ寝転んで、牛になるよって言われなかった?」
それを見た茉莉は軽くあたしのお腹を二回叩くと、食べ終えて生クリームのついた割りばしと紙皿を重ねて立ち上がり、ごみ箱に捨てた。
「いいのいいの、だってあたし誕生日だし?」
そうあたしが言うと、しょうがないなという顔をしてケーキの箱を畳んで捨てたり、べたべたの包丁をきれいに洗い始めた。
誰かに言われなくても、自分のわがままさには呆れている。
さすがのあたしも茉莉に申し訳なくなってきて、「茉莉?何かやろうか」なんて声をかけたものの「散らかるから座ってて」と言われた。
「ねえ、茉莉?あたしの魅力ってどこ?」
「志穂の魅力かぁ。あるかなぁ、なーんて冗談冗談いろいろあるよ」
茉莉はあたしの魅力を語り始めた。
・笑顔がかわいい
・甘え上手
・元気をくれる
・悩みを受け止めて吹き飛ばしてくれる
・支えになってくれる
「こんなとこかな」
意外と出てきた内容は褒め言葉が多く、頬が緩んだ。
あたしのことを一番わかってくれるのは、彼氏でも旦那でもなく茉莉だ。
「あ、いいこと思いついた!一緒に住まない?」
「やだね。いい距離感だよこれが」
即答されたのは明らかにあたしが部屋が片付けできなことが理由だと、すぐ理解することができた。
゛家の中ではこれでも、仕事はきちんとやっていると思う。
会社に着いたら切り替えてる。
パソコンを目の前にしたら、その日やることのリストを付箋で画面に貼る。
それから一つずつ仕事をこなしていく。
定時で帰ることと、仕事を残さないで終わらせること。
それだけは家の中と違ってきっぱりと決めている。゛
その反動からか家のことまで手が回らないんだよね。
でもさ、一人暮らしの人ってみんなこうでしょ?
「お願いだからそうだと言って!」
「え、なに志穂。急にどうしたの」
「みんな茉莉みたいに、いつみても部屋が綺麗なのかなーって。あたし仕事とプライベートは全くの別物だと感じてて、同じようにテキパキ家でも料理して掃除して洗濯?もう無理、いくら考えても考えてもあたしには無理」
「私も、志穂と同じく仕事とプライベートは別だと考えてるよー?
仕事で疲れてるのに家に帰ったら汚い部屋だなんて逆に疲れちゃはない?私はそれが嫌だから綺麗にしてる。まあでも、たまにはね?部屋が散らかるときもあるよ?仕事とプライベート同じように気張ってたらそれこそ休める居場所がないじゃない」
「たしかに?じゃあ、あたしは一生このままでいいや。仕事さえしっかりしてれば給料入ってくるし。あとは好きなスイーツ食べ歩いて、彼氏なんていなくてもこのまま気楽にいこーっと」
そう口にした瞬間、あたしの携帯の着信音が鳴った。
母からだ。
「ごめん茉莉、お母さんから電話出てもい?」
「いいよいいよ出な、きっと祝いの言葉だよ」
「そうだといいけど、あ、もしもしお母さん?久しぶり……」
母からの電話は、誕生日の祝いだけじゃなくいい加減彼氏はできたかとか、いつになっら孫を見せてくれるのとかそんなんばっかり。
「ごめんね?電話長引いて、孫がほしいんだってお母さん、あたしにできるわけないのにー」
「まぁ私たち30歳だし、親も焦ってんじゃない?ほんとに焦るのは普通本人だけど、こんな調子じゃねぇ…
しーほ、また寝転んでさ帰るよ、あたし」
゛あたしは何もできないわけじゃない。
やるときはやる、仕事は仕事、責任もってやってる。
だからって家のことまでやらなくても、誰も困らない。
あたしはこのままが幸せ。゛
「えー!帰るの!?夜までいてよ、あ、お酒なら冷蔵庫にあるよ、飲もうよー!あ、それかシュークリーム買いに行かない?」
あたしはシュークリームが大好物で、行きつけのシュークリームのお店がある。
「まぁいいけど?じゃ、その髪と服装早くどうにかしてくれない?」
「どうにかって?」
姿見で自分を見ると前髪にカーラーをつけて、緑色のロングTシャツに短パン。
さすがにこれで外に出るのはまずいか。
「3分ちょうだい、すぐ着替えるから!えっと、ふくふく…こっちにズボンがあった気が…、あれ、ない?ここに置いたはずなのに………」
あたしはやっぱり片付けができない。
本当は片付けができたらこんなことにはならないはずなんだけどね。
「あ〜、私のシュークリーム、…間違えた、ズボンねズボン、あ、あった!」
急いで着替えた私は、カーラーを外し軽く鏡を見て髪を手で整える。
色つきの薬用リップを塗ってアイブロウだけ書くと、準備を終えた。
「約20分かかってるけど?どこが3分なのよ。片付けてればこんなことにはならないのに、服探す時間って損じゃない?」
「あたしも分かってはいるんだけどねー、やっぱりあたしと一緒に住まない!?」
だめかな?2度目のお誘い。
私は茉莉と住みたいよ〜。
「それ、私に全てやらせる気じゃない?まぁ、いいよ。そんなに言うなら一緒に住んであげる」
「え、いいの!?ほんと!?」
「いいから行くよ、シュークリーム食べるんでしょ」
そう言って、スタスタと玄関に行き靴を履き始める。
「ちょ、ちょっと待って!今行くから!財布財布…あれ?ない…カバンの中にない!?」
「もう志穂ったら、ほんと世話が焼けるよね。まあ可愛いからいいんだけど、最後どこで使ったか覚えてる?」
そう言って履いたはずの靴を脱ぎ、部屋に戻ってくる茉莉は優しい。
「茉莉ぃ、えっとね。たしか昨日コンビニでパスタ買って、コンビニの袋に一緒に入れ…た。あ、袋!袋の中だ!」
「もしかしてこのベットの上に置いてある袋?」
「そう!これだ、あったあった〜、じゃあ行こーう!」
無事にシュークリームを買いに出かけ、食べてからおひらきになった。
次の日、普通に仕事用のアラームで早めに起き、なんとか準備をして家を出た。
゛電車に乗って会社に向かう途中、会社の最寄りの駅のコンビニでサンドイッチとシュークリームを買う。
今日はレタスとチーズの入ったサンドイッチ。
いつもご飯をコンビニで買ってから出社。゛
゛お弁当なんて作れないからね。
それに、ただでさえ準備遅いのにお弁当なんて作ったらそれだけで1日終わっちゃうよ。゛
゛「おはようございます」
この一言であたしはスイッチが入る。
仕事モードを入れるために、出社後長い髪を後ろでキツめに結ぶ。
そうすることで、引き締まる感じがして気持ちが切り替わる。
椅子に座り付箋を取ると付箋にやることリストを作り優先順位を決め取り掛かる。
初めに決めることで整理され、効率よく仕事ができる。
仕事内容によっては、タイマーをつけたりもする。
こうして、いつも定時で終わらせることができる。
「おつかれさまです」゛
゛「さーて、今日はコーヒーでも持ち帰って、昨日買ってもらったシュークリームでもたーべよ」
今日も残業なし、家帰って好きなドラマ見ながらシュークリームを食べる。
これ以上、幸せなことってある?
そりゃあさ、彼氏がいたら楽しいかもしれない。
実際、いた頃は楽しかったし、でも辛いこともあった。
喧嘩したり、価値観が合わないところで意見ぶつけ合っても、所詮他人。
価値観の合う友達とだけ会って、無理して恋人作る必要なんてなくない?
あー、でもやっぱり同じ歳の子が幸せそうな家庭築いてるところを見ると、ちょっと寂しい気はするけど。゛