「戦争、戦争だけは避けてください。何も生み出さない愚行だと私は異世界の経験より知っています」
私は一触即発だというライ国周辺の状況に怖くなった。
「もちろん、戦争は避けるつもりです。しかしライト公爵家の人間は綾さんとは無関係です。万が一、彼らが危機に直面してもイザベラが心を痛める必要はありませんよね」
戦争が起こる可能性を否定しない、サイラス王太子殿下の口ぶりに恐怖心が抑えられない。
「ライト公爵も公爵夫人も、公爵家で働く使用人達もかけがえのない大切な人です。皆さん私にたくさん親切にしてくださいました。彼らに危害が及ぶようなことだけはして欲しくないです」
私がそう言った瞬間、サイラス王太子殿下が私の唇の端にキスをしてきた。
「な、何をなさるのですか?」
私は前世でも経験のないことに、目が回ってパニックになってしまう。
「お許しください。自分でもこのような衝動を抑えきれない人間だとは思ってもいませんでした。イザベラが愛おしすぎて、心より体が先に動いてしまうのです。どのような状況下でも、あなたの守りたいもの全てを私は守ると誓います。口づけをしようとして申し訳ございませんでした。今後は衝動を抑えられるように耐えますので、どうかご容赦ください」
「あの、唇を避けて頂いたことは理解しておりますので」
私が震える声でサイラス王太子に伝えると、彼はにっこりと微笑んだ。
「イザベラ、他国の王子の婚約者のあなたに愛を伝えるのは間違っているとわかっています。しかし、あなたを幸せにするのは私でありたいです。ライト公爵家とライ王国の強いつながりを考えると、ルブリス王子との婚約を破棄することはたやすくありません。彼との結婚はまぬがれない可能性もあります。もし、彼とイザベラが結婚したら、私はライ国を侵略しあなたを奪いにいくでしょう。そのような事態になってもライト公爵家の安全は保証することをお約束します。私があなたを諦めることはこの先もないでしょう。観念してください、イザベラ。全ては、あなたが私の心を奪ったことが原因です。隣国ですがライ国からルイ国まで馬車に乗りっぱなしでも、7日間はかかります。お腹が空いたらいつでも言ってください。私に与えられるものがあれば、いつでも言ってください。愛しいイザベラ」
彼は私の頰に口づけすると、そのまま寝てしまった。
おそらく多忙であろう彼はとても疲れていたのだろう。
「心を奪ったのはあなたの方ですよ」
私はサイラス王太子殿下の髪に口づけをすると彼に寄りかかった。
彼の隣にいると、ときめきのあまり心臓がうるさかった。
起こるかもしれない戦争や白川愛の存在が怖くて、心がサイラス王太子殿下を頼っていた。
彼に身を寄せると安心するような柔らかい香りと温もりに、吸い込まれるように眠気が襲ってきて私は眠りに落ちた。
私は一触即発だというライ国周辺の状況に怖くなった。
「もちろん、戦争は避けるつもりです。しかしライト公爵家の人間は綾さんとは無関係です。万が一、彼らが危機に直面してもイザベラが心を痛める必要はありませんよね」
戦争が起こる可能性を否定しない、サイラス王太子殿下の口ぶりに恐怖心が抑えられない。
「ライト公爵も公爵夫人も、公爵家で働く使用人達もかけがえのない大切な人です。皆さん私にたくさん親切にしてくださいました。彼らに危害が及ぶようなことだけはして欲しくないです」
私がそう言った瞬間、サイラス王太子殿下が私の唇の端にキスをしてきた。
「な、何をなさるのですか?」
私は前世でも経験のないことに、目が回ってパニックになってしまう。
「お許しください。自分でもこのような衝動を抑えきれない人間だとは思ってもいませんでした。イザベラが愛おしすぎて、心より体が先に動いてしまうのです。どのような状況下でも、あなたの守りたいもの全てを私は守ると誓います。口づけをしようとして申し訳ございませんでした。今後は衝動を抑えられるように耐えますので、どうかご容赦ください」
「あの、唇を避けて頂いたことは理解しておりますので」
私が震える声でサイラス王太子に伝えると、彼はにっこりと微笑んだ。
「イザベラ、他国の王子の婚約者のあなたに愛を伝えるのは間違っているとわかっています。しかし、あなたを幸せにするのは私でありたいです。ライト公爵家とライ王国の強いつながりを考えると、ルブリス王子との婚約を破棄することはたやすくありません。彼との結婚はまぬがれない可能性もあります。もし、彼とイザベラが結婚したら、私はライ国を侵略しあなたを奪いにいくでしょう。そのような事態になってもライト公爵家の安全は保証することをお約束します。私があなたを諦めることはこの先もないでしょう。観念してください、イザベラ。全ては、あなたが私の心を奪ったことが原因です。隣国ですがライ国からルイ国まで馬車に乗りっぱなしでも、7日間はかかります。お腹が空いたらいつでも言ってください。私に与えられるものがあれば、いつでも言ってください。愛しいイザベラ」
彼は私の頰に口づけすると、そのまま寝てしまった。
おそらく多忙であろう彼はとても疲れていたのだろう。
「心を奪ったのはあなたの方ですよ」
私はサイラス王太子殿下の髪に口づけをすると彼に寄りかかった。
彼の隣にいると、ときめきのあまり心臓がうるさかった。
起こるかもしれない戦争や白川愛の存在が怖くて、心がサイラス王太子殿下を頼っていた。
彼に身を寄せると安心するような柔らかい香りと温もりに、吸い込まれるように眠気が襲ってきて私は眠りに落ちた。