今、一番悩んでいるのは初期メンバーの横領の件だ。
でも、それすでに彼を解雇することで決着がついている。
だから、俺はアオさんの違った視点の意見が聞きたくてブログを見せた。
オススメの宿などを、俺が顔出しで紹介している会社の公式ブログだ。
「実は最近ブログに嫌なコメントを書かれているんです」
「ふふ、甘城社長、大してイケメンじゃないって書かれてますね」
アオさんは、コメント欄を見て爆笑している。
「面白いですか? 実は結構ショックなのですが」
「すみません。つい、笑ってしまいました。健太郎さんは流行顔らしいので、時代遅れ顔の人が嫉妬しているだけではないですか? 私は健太郎さんは流行に関係ないイケメンだと思いますよ」
やはり、アオさんは予想外のことを言って来た。
そして、彼女にイケメンだと言われて嬉しくなる。
「私のブログはもっとすごいですよ。アバズレ、淫乱、パパ活女と言われ放題です。まあ、明日には犯人の人生は終了しますけどね」
アオさんが楽しそうに見せてくる彼女の全編英語のブログは、日本語のコメントで荒らされていた。
この荒らされようを見たら、自分の書かれた嫌がらせコメントなんて可愛く思えてくる。
「アオさん、傷ついていないのですか? それに、人生終了とはどういうことですか?」
「このコメント情報開示請求をしたんです。予想通り全て同じ人がコメントを書いていて、犯人が分かりすっきりしました」
アオさんの晴れやかな表情を見るに傷ついてはいなさそうだ。
彼女がカバンから住民票を取り出してきた。
「この石川藍子という子です。彼女は私の大学の語学のクラスが一緒の子です。前にロビーで、佐々木さんの隣にいた女の子ですよ。健太郎さんも情報開示請求は1件あたり30万円程度でできますし、弁護士さんにお願いすればて犯人の住民票も入手できます。私、石川藍子を刑事告訴しようと思います」
アオさんの金銭感覚は、やはり俺とは異なっている。
彼女にとって30万円は小銭と変わらなそうだ。
俺はいくら成功しても根が庶民なので、30万円を少額とは感じない。
ホッとする庶民的な料理を出してくれるが、彼女は生粋のお嬢様だ。
そして、内容証明を送るわけでもなく、即、刑事告訴という選択を取る感覚は俺にはない。
石川さんという子も、学生のアオさんが弁護士を使って刑事告訴してくるとは思わないはずだ。
「刑事告訴はやりすぎではないですか? その子の人生が終わってしまいます」
「でも、名誉毀損で民事で裁判を起こすより、刑事の方が警察にお任せできるので楽だと思います。ありもしないことで私のことを誹謗中傷した彼女の人生を、私が考える必要はあるのですか? 石川さんが破滅するのは時間の問題ですよ。私と彼女は、ほぼ関わってません。一方的に私のこと嫌いだからと言って、人をこのように攻撃してしまう方なのです。きっと、他の方にも同じことをしています。私が彼女に復讐しなくても、いずれ彼女は破滅します」
アオさんの復讐という言葉に、毎日のように思い出す許せない相手を思い出した。
飲酒運転で俺の家族を轢き殺した犯人だ。
アオさんは俺に家族の話をしない。
そして、俺も自分の家族のことは聞かれたくない。
俺が同じ年の妹をなくしたなんて言ったら、彼女は「私が妹になります」とか言いそうだ。
俺は彼女に妻として、家族になってもらいたい。
「石川さんという子は、匿名でコメントを書き込めるので油断してしまったのでしょうね。アオさん、とりあえず大学に今回の件を相談して見てはどうですか? 告訴はそれからでも遅くないと思います」
アオさんの言うことは正しい。
被害者のアオさんが、加害者の事情を考慮してあげる必要は全くない。
でも、石川さんはおそらくアオさんに嫉妬してしまっただけだ。
彼女は、佐々木さんについてきて彼のマンションまで来た子だ。
きっと、彼のことが好きだったのだろう。
「家に来るのだから好きなはず」だと他の女の子に対してだったら思うのに、アオさんは例外な気がする。
アオさんは金銭感覚や物事に対する見方が俺とは異なっている。
「わかりました。健太郎さんの言う通りにしますね。大学が何か対策をしてくれるとは、全く考えてませんでした。さすがは健太郎さんです」
価値観が異なるのに、彼女は俺の話をよく聞いてくれる。
彼女が驚く程素直な子だから、価値観の不一致を感じても惹かれる気持ちを抑えなれないのだろう。
とにかく、俺は自分は「大してイケメンじゃない」と言われたくらいで落ち込んだメンタルの弱さを反省しようと思った。
でも、それすでに彼を解雇することで決着がついている。
だから、俺はアオさんの違った視点の意見が聞きたくてブログを見せた。
オススメの宿などを、俺が顔出しで紹介している会社の公式ブログだ。
「実は最近ブログに嫌なコメントを書かれているんです」
「ふふ、甘城社長、大してイケメンじゃないって書かれてますね」
アオさんは、コメント欄を見て爆笑している。
「面白いですか? 実は結構ショックなのですが」
「すみません。つい、笑ってしまいました。健太郎さんは流行顔らしいので、時代遅れ顔の人が嫉妬しているだけではないですか? 私は健太郎さんは流行に関係ないイケメンだと思いますよ」
やはり、アオさんは予想外のことを言って来た。
そして、彼女にイケメンだと言われて嬉しくなる。
「私のブログはもっとすごいですよ。アバズレ、淫乱、パパ活女と言われ放題です。まあ、明日には犯人の人生は終了しますけどね」
アオさんが楽しそうに見せてくる彼女の全編英語のブログは、日本語のコメントで荒らされていた。
この荒らされようを見たら、自分の書かれた嫌がらせコメントなんて可愛く思えてくる。
「アオさん、傷ついていないのですか? それに、人生終了とはどういうことですか?」
「このコメント情報開示請求をしたんです。予想通り全て同じ人がコメントを書いていて、犯人が分かりすっきりしました」
アオさんの晴れやかな表情を見るに傷ついてはいなさそうだ。
彼女がカバンから住民票を取り出してきた。
「この石川藍子という子です。彼女は私の大学の語学のクラスが一緒の子です。前にロビーで、佐々木さんの隣にいた女の子ですよ。健太郎さんも情報開示請求は1件あたり30万円程度でできますし、弁護士さんにお願いすればて犯人の住民票も入手できます。私、石川藍子を刑事告訴しようと思います」
アオさんの金銭感覚は、やはり俺とは異なっている。
彼女にとって30万円は小銭と変わらなそうだ。
俺はいくら成功しても根が庶民なので、30万円を少額とは感じない。
ホッとする庶民的な料理を出してくれるが、彼女は生粋のお嬢様だ。
そして、内容証明を送るわけでもなく、即、刑事告訴という選択を取る感覚は俺にはない。
石川さんという子も、学生のアオさんが弁護士を使って刑事告訴してくるとは思わないはずだ。
「刑事告訴はやりすぎではないですか? その子の人生が終わってしまいます」
「でも、名誉毀損で民事で裁判を起こすより、刑事の方が警察にお任せできるので楽だと思います。ありもしないことで私のことを誹謗中傷した彼女の人生を、私が考える必要はあるのですか? 石川さんが破滅するのは時間の問題ですよ。私と彼女は、ほぼ関わってません。一方的に私のこと嫌いだからと言って、人をこのように攻撃してしまう方なのです。きっと、他の方にも同じことをしています。私が彼女に復讐しなくても、いずれ彼女は破滅します」
アオさんの復讐という言葉に、毎日のように思い出す許せない相手を思い出した。
飲酒運転で俺の家族を轢き殺した犯人だ。
アオさんは俺に家族の話をしない。
そして、俺も自分の家族のことは聞かれたくない。
俺が同じ年の妹をなくしたなんて言ったら、彼女は「私が妹になります」とか言いそうだ。
俺は彼女に妻として、家族になってもらいたい。
「石川さんという子は、匿名でコメントを書き込めるので油断してしまったのでしょうね。アオさん、とりあえず大学に今回の件を相談して見てはどうですか? 告訴はそれからでも遅くないと思います」
アオさんの言うことは正しい。
被害者のアオさんが、加害者の事情を考慮してあげる必要は全くない。
でも、石川さんはおそらくアオさんに嫉妬してしまっただけだ。
彼女は、佐々木さんについてきて彼のマンションまで来た子だ。
きっと、彼のことが好きだったのだろう。
「家に来るのだから好きなはず」だと他の女の子に対してだったら思うのに、アオさんは例外な気がする。
アオさんは金銭感覚や物事に対する見方が俺とは異なっている。
「わかりました。健太郎さんの言う通りにしますね。大学が何か対策をしてくれるとは、全く考えてませんでした。さすがは健太郎さんです」
価値観が異なるのに、彼女は俺の話をよく聞いてくれる。
彼女が驚く程素直な子だから、価値観の不一致を感じても惹かれる気持ちを抑えなれないのだろう。
とにかく、俺は自分は「大してイケメンじゃない」と言われたくらいで落ち込んだメンタルの弱さを反省しようと思った。