そのまま、キスをすればメグルは目を見開いてから、ちっちゃく笑った。

「初めてなんだけど?」
「忘れられないだろ、さすがに」
「忘れられなくなっちゃった」

 くすくすと笑ってるくせに、瞳からはポロポロと涙をこぼす。そして、俺をドンっと突き放して、走り出す。

 追いかけたかった。それでも、メグルは消えていくのを見られたくないから、俺から逃げたのがわかったから立ち上がれない。

 ただ、夜の海を目に映して、涙を飲み込む。気が狂いそうなくらい好きだ。メグルのことが、好きで好きでたまらないよ。