「どういうこと?」
 ようやく言った私に、さとみは勝利宣言するかのように「ふふん」と鼻で笑って、ジュースを飲み干した。

『気の迷いから(祐華)に走った自分を許してほしい。ただ、そうは言っても1年近く仲良くしてきたから別れは言いにくい。お前(さとみ)から、上手に言うてくれん?』

 そんな調子のいいことを、ほざいている大翔。
 私は、怒りで目の前が真っ赤になった気がする。
 さとみもさとみだ。こんなの真に受けて、大翔と復縁する気なの?

 どう返すべき? なんて言えばいい?
 まさかの大翔の裏切り。
 背後から味方に攻撃されてしまった私は、どうしたらいい?

「え!」
 突然、ジュースを飲んでいたさとみが叫び声をあげた。

 彼女の視線の先を追うと、店の前の通路を歩いているふたり連れが目に入った。
 背の高い男性に、ぶら下がるように腕を組む女の子。

 ふたりは喫茶店の向かいのフラワーショップで立ち止まった。男性が何か言って、女の子は手を叩いて笑っている。そして、微笑んで見つめ合う。

  仲よさげなふたり連れは、大翔と誰か知らない女だった。