「さとみさんも今は売れっ子アナやけど、フリーは不安定ですしね。ええ話やないかなって」
 山田さんが弁解するように、伊藤さんの言葉に続ける。

「歳取って美貌が衰えてきたら、仕事減るしなあ」
 伊藤さんはグラスを片手に、くすくす笑った。

「ち、ちょっと待って。さとみさんの意向も聞かんと、勝手にそんな話を進めてたんですか?」
 萌がそう言って、絶句した。

 私は怒りが込み上げてきて、焼酎(チャミスル)の瓶をダン! と机の上に置いた。
「大きなお世話やわ」

 机の響く音と私の言葉に、4分割画面の中で、男性たちは驚いた顔をした。
 萌も一瞬驚いていたが、すぐに嬉しそうな笑顔に変わった。

「さとみさんが頼んだならともかく。彼女は自分の意志で、大阪でフリーで仕事してるんですよ。一生懸命頑張ってきて、今はそこそこ、ええ位置につけてる。その努力をなんだと思ってるの!」

 山田さんも伊藤さんも黙っている。
 彼等のバツが悪そうな表情に、私はハッとなった。
 どうしちゃったんだろ、私。思ってる以上に酔っ払ってるのかもしれない。

「ごっ、ごめんなさい。言いすぎました。せっかく山田さんの送別会のつもりだったのに、情けない幹事ですみません。萌ちー、伊藤さん、山田さんで、あとは楽しくやって下さい。ホンマごめんなさい、これで消えます」

「いやいや、僕も調子に乗りすぎました。すみません。……今日のところはこの辺で。後日また改めてやり直しましょう!」

 伊藤さんがそう言ってくれて、私はほっとした。