終業時刻を過ぎて、そろそろ仕事を切り上げようとしていたら、さとみから電話が入った。
「祐華さん? 今日の夜、空いてる?」
さとみの声は、心なしか弾んでいるような。
「さとみさん? まだ会社やねんけど、何の用?」
「会社? えーっ! このご時世に、リモートワークしてないって、おたくの会社って遅れてはるのねえ」
「あんたね、どこの異世界に住んでんの。まだ仕事してるから一旦切るわ、てか、メッセージのほうで連絡ちょうだい。じゃあね」
切るや否や、ピコンという音とともに、さとみから連絡が来た。
「はやっ!」
私は中身を確認せず、無視することにしてスマホの電源も切った。
さとみは自由業だから、勤め人の事情なんか知ったこっちゃないんだろうけど、イマドキ電話で連絡してくるほうが遅れているように思う。
うちの会社も、週1〜2でリモートワークが導入されているが、その分、翌日の仕事が忙しくなるような気がしているのは私だけだろうか?
「さてと」
仕事を終え、ロッカールームに行くと、今は違う課に異動になった同期の萌がいた。
例のごとく、念入りにメイク直しをしている。
「萌ちー。どうせマスクするのにメイク直しする意味あんの?」
私の問いかけに、手を休めることなく萌は言う。
「それな。けど、目の周りは充分やる意味ある」
「金曜やし、今からどっか行くん?」
「うんにゃ。別に予定なし。スーパーかコンビニ寄って、晩御飯とおやつ買うくらい」
「帰るだけなら、ますます化粧要らんくない?」
私は制服のまま、上からコートを羽織って帰るつもりだ。もちろん、マスクの下は素顔。
「化粧するのは他人の為やないからな。自分がしたいからしてんねん」
「なるほどなあ」
「祐華は? 今日も家でのんびり?」
「せやな。家でひとり飲み放題やな。あ! そういえば、さとみさんからメッセージ来てた」
「祐華さん? 今日の夜、空いてる?」
さとみの声は、心なしか弾んでいるような。
「さとみさん? まだ会社やねんけど、何の用?」
「会社? えーっ! このご時世に、リモートワークしてないって、おたくの会社って遅れてはるのねえ」
「あんたね、どこの異世界に住んでんの。まだ仕事してるから一旦切るわ、てか、メッセージのほうで連絡ちょうだい。じゃあね」
切るや否や、ピコンという音とともに、さとみから連絡が来た。
「はやっ!」
私は中身を確認せず、無視することにしてスマホの電源も切った。
さとみは自由業だから、勤め人の事情なんか知ったこっちゃないんだろうけど、イマドキ電話で連絡してくるほうが遅れているように思う。
うちの会社も、週1〜2でリモートワークが導入されているが、その分、翌日の仕事が忙しくなるような気がしているのは私だけだろうか?
「さてと」
仕事を終え、ロッカールームに行くと、今は違う課に異動になった同期の萌がいた。
例のごとく、念入りにメイク直しをしている。
「萌ちー。どうせマスクするのにメイク直しする意味あんの?」
私の問いかけに、手を休めることなく萌は言う。
「それな。けど、目の周りは充分やる意味ある」
「金曜やし、今からどっか行くん?」
「うんにゃ。別に予定なし。スーパーかコンビニ寄って、晩御飯とおやつ買うくらい」
「帰るだけなら、ますます化粧要らんくない?」
私は制服のまま、上からコートを羽織って帰るつもりだ。もちろん、マスクの下は素顔。
「化粧するのは他人の為やないからな。自分がしたいからしてんねん」
「なるほどなあ」
「祐華は? 今日も家でのんびり?」
「せやな。家でひとり飲み放題やな。あ! そういえば、さとみさんからメッセージ来てた」