「嘘ついていたって、どういうこと？」

私は、セイにゆっくりと尋ねる。

セイが話す準備が出来るまでジッと待っていた。

セイが今まで、そうしてくれてたみたいに。

暫くして、セイは顔を上げて話し始めた。

「本当は私じゃない。サエの本当の前世は、私の妹なの」

数秒思考が止まる。
我に返った私は、混乱しながらもセイに尋ねた。

「えっ、待って。えっと……、セイには妹さんが居て？その妹さんの、来世が私。じゃぁ、セイは誰にも転生してないってこと？」

「そう、ただ単に成仏出来ずここにいる」

「なんで、そんな嘘……」

「ごめんね、サエがあまりにも妹にそっくりなもんだから。『姉だ』って口にしたら、サエとの距離感が分かんなくなっちゃいそうで……」
セイは気まずそうに、力無く笑う。

「いや、まぁそれは良いんだけど。妹さんが私の前世ってことは……」

「うん、死んだの。私より一つ下で、とっても良い子だった。優しくて笑顔がかわいくって、思いやりの強い子だった。ちょっとドジで、のんびりした所もあったけど」

そう言いながら、少し微笑んでこちらを向く。

セイはこの時、私を通して別の誰かに話しかけているようだった。

「どうして、病気か何かだったの？」

「ううん、死ぬ直前まで元気だったよ。身体は」

「身体は……」
その言い方に少し、引っかかりを感じた。

「私が殺した」
思いつめた表情で、セイは言う。

「え……」

「私が殺したんだよ。妹を。あんなに大切だった妹を」
セイの声は震えていた。

「そんな訳ない……」
私は呟く。

そして叫ぶように続けた。

「そんな訳ない！セイは、生きることの難しさを知ってる。命なんて、簡単に無くなっちゃうことを知ってる。そんなセイが、人の命を自分の手で終わらせる訳がない！」

そして畳みかけるように、私は言い切った。

「ましてや人を手にかけるって、他人に人生を左右されたのと一緒じゃない。そんなの全然、セイらしくない！」

息継ぎなしで発言したため、呼吸と共に肩が大きく上下していた。

よく見ると、セイは目を丸くして驚いていている。

そして、ゆっくり口を開きこう言った。

「サエ……怒ってる？」

「えっ！あっ……」
私は我に返り、当てもなく色々な所に視線を向けた。

自分の頬がだんだんと熱くなっていくのを感じていた。

「だって、セイが変な事言うから……。私すっかりムキになっちゃって」

そう言いながらむくれる私を横目に、セイは笑っていた。

「ぶつかって来れるじゃん。自分のためにも、これぐらいの威勢が発揮出来ればなぁ」

そう言いながらも、セイは優しい眼差しをこちらに向けるのだった。

「でもこれがサエらしい。人のために怒れる人は、誰よりも心が強い人なんだって、うちの母親が言ってた」

そう語るセイの表情は、どこか切なそうだった。

「怒ってくれて、ありがとう。そうだね、ちょっと言い方を変えるわ。正確には『自分が殺したと言っても過言ではない』って感じかな」

「……どういうこと？」

セイはゆっくり話し始めた。