異世界召喚された聖女(仮)3つのカタチ

持ってきた物資は食料がほとんどだ。
パンや日持ちするビスケットのようなものと、野菜と果物。
そしてミックスジュースを配った。

「おねちゃん…あいがと!」
「じゅちゅ!おいちぃ」

「ありがとうございますだ」
「なんか…元気になった気がするよ」

口々にお礼を言ってくれて、ちょっとは役に立っただろうかと安堵した。



ミックスジュースを美味しそうに飲んでくれる村人に綻《ほころ》ぶ。


星来は歩き、村はずれまできた。誰もいない。

「ここ…結界の境目なんだ」

上手く言葉に出来ないほど、結界の外の異様な禍々《まがまが》しい

星来は水晶のペンダントを触る

「ジャンヌ様!この村や邪気に侵されてる人たちを助けたいです!…せめて助言だけでもください!!」



………



ペンダントに向かって投げかけるが無反応だ。

「そんな…」


「星来!!」
声をかけた主はレイヴンだった

「駄目じゃない、1人で行動したら」

「ごめん」

「あ、責めたわけじゃないよ。どうしたの?」

「ジャンヌ様に話かけてたんだ。助けてくださいって」
「そっか」

「私がトロトロして婚姻拒否してたらこんな事になるなんて…やっぱ誰かと結婚した方がいいかな…って」

「大丈夫だって、そうならないように考えるからって約束したでしょ?だから、星来は星来の意志を大切にしてよ」

「ありがとうレイヴン。レイヴンは好きでもない相手と結婚できるの?」

「僕は一応、王族だからね。国の為の政略結婚は受け入れてるよ、僕だけじゃなくアレルヤとクリスもね」

「そっか…」



「そうだ。聖女伝説の方はまだ謎が多いんだけど、1つだけわかった事があるんだ」