異世界召喚された聖女(仮)3つのカタチ

歩いている村人に声をかけた、村長と会いたいと。
声をかけた村人も具合が悪そうだ

「大丈夫ですか?」
「…はい。私はまだ元気な方ですから…」

「中心部の方ですか?」
「まぁ…はい。」
テレーゼからまだ聖女の事は知られてないらしいので、素性は隠した。


「村長、お会いしたいと言う方がおりまして…よろしいですか?」

「ああ…ごほっ…入っていただきなさい」

星来たちは村長の家にお邪魔する


「若いお嬢さんと…城からの使いか。国王からついに命令が下ったか……」

「?」
「国王からの命令とは?」
テレーゼが不審そうに問う

「…ごほっ…違うのか…なに用だね…ごほっごほ!」

村長もまた具合が悪そうだった。


「私たちは少ないですが、物資や支援しにきました。まともに食事どころか治療もできていないと伺いまして…迷惑でしたか?」

「そうか…そうか…王に捨てられた私らを助けて下さるなんて、ありがとう…ありがとう」

星来が目的を伝えると村長が涙を流した。

(そんな感謝されるなんて…大した事してないのに)


「子供たちを優先して支援をお願いいたします。子供の中には両親が亡くなっているですが、私らは分け与えられるほど余裕がなくてね」

「はい、わかりました」

星来が立ち上がろうとするとテレーゼが問うた

「先程、おっしゃった国王の命令とはなんですか?」

「……あれか。もうすぐこの村や同じ結界から近い村も含めて…村ごと封鎖される。他の中心部や豊かな民の為に私らは魔物の犠牲になれとのことさ」

「え!」

「「な、なんてことを!!」」

星来も驚いたのだがレイヴンとテレーゼが驚いていた


「…僕たちは準備はじめますので、失礼しました」


一度、村長の家を後にし、積荷をおろし準備をする


「私は国王から聞いておりませんでした」
「僕もだよ」
「…」


「真剣なところすみません〜て、手伝って〜」

「あ、ごめん。今行くよ〜」

レイヴンとアレルヤは星来の方へ向かった



「…やはり星来様には聖女として早く目覚めていただくしか」

ポソっと呟くテレーゼ