しばらく馬を走らせて行くと、この世界の事が分からない星来ですら、さすがに気づいた。


とても静かで

誰も見かけなくなった

すごく悪寒を感じる


「な…に…ここ」


クリスも絶句し言葉を失った。


馬を降り、村を歩く


「……」
アレルヤが星来の腕を引っ張っぱり、星来を民家の中を覗かせる


「…っ!!」

驚いて声が出なかった。
中にいたのは痩せ細った子供が泣き、両親らしき大人は体中が真っ青になって倒れていた。


「ごほっ…ごほっ…」

一人の女性の村人がフラフラしていた。
星来は声をかける

「大丈夫ですか?」

「ありがとね…中心部の子かい?ここにいちゃ駄目だよ」

女性はそのまま歩いて行ってしまう


「…国はここの人達を放棄してるの?」
「結界が弱まり、魔物から出る強い邪気がここまで届いて、耐えられないんだ。…対処が出来ない……邪気を祓えるのは聖女だけなんだ」


「…そっか。せめて支援物資とか届けられないかな?子供、痩せ細ってるし食べてないよね」

「そうだね、僕の独断じゃできないから相談してみるよ」

星来は自分の力のなさが情けないと感じた。

空を見上げると、昼間なのにこの村だけ薄暗くみえた