三週間の停学期間が明けた。
復学初日の今日、僕は早めに登校して職員室を訪れた。担任から顔を出すように言われていたし、何より重要な用事があったからだ。
担任のところへ挨拶に行き、通り一遍の訓示を大人しく聞いて頭を下げてから、少し離れた体育教師の席に向かう。この先生はバスケ部の顧問で、僕の目的は入部届を出すことだった。
「お前がバスケ部だと? 一体何を考えているんだ」
開口一番、先生は怪訝な口調でそう言った。明らかにこちらを快く思っていない。
それはそうだろう。先生は生活指導の担当で、僕に停学処分を告げた、まさにその人だ。おまけに僕は反省文を書けと手渡された用紙を、先生の目の前で破り捨てたんだから。
「停学明けの僕が、心を入れ替えて部活を始めるのって、そんなに変ですか?」
「そうは言わんが、うちのバスケ部は強豪だ。お前、何かスポーツの経験あるのか? その体でいきなりハードな練習をしたら膝を壊すだけだ。やめておけ」
先生の物言いにイラッとしたが、事実だから仕方がない。体型を抜きにしても、僕に運動歴がないことなんて体育の授業でお見通しだろう。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。僕はさらに一歩前に出て、先生に詰め寄るような姿勢で言い募る。
「体重は落とします。それにレギュラーを目指しているわけじゃなくて、ただバスケがやりたいだけなんです」
「ならばはっきり言うが、うちのバスケ部は全国大会の常連なんだ。素行の悪い生徒が入部してトラブルを起こすと、公式戦に出場できなくなる。悪いが諦めろ」
先生はそう言うと、もう僕の方を見ようともせずに机に向かった。
「……また来ます」
それだけ言って職員室を出る。
覚悟していたとはいえ、取りつく島もない状況だ。もちろん、このまま諦めるつもりはなかった。
*
教室のドアを開けると、中に居た全員の視線が一斉にこちらに集中した。一瞬たじろいだが、気にせず足早に自分の席へ向かう。
視線が集まったのはほんの一瞬だったらしく、僕が席に着いた時には、もう誰もこちらを見ていなかった。停学前によく耳にした悪口も、今は聞こえてこない。
しばらくして、一人の女子がこちらをチラチラと見ているのに気づいた。例の事件で僕にニセモノのラブレターを送ってきた、あの子だ。目が合うと、彼女は気まずそうに視線を逸らし、何事もなかったかのように前を向いた。
あの事件の前なら、僕はそれだけで丸一日ドキドキしていただろう。でも今は、もう何も感じない。僕を陥れたことへの怒りさえも沸いてこない。
もう彼女に少しも興味がないんだな、とあらためて思う。今でも彼女はクラスで一番の美少女だと思っている。でもそれだけだった。顔もスタイルも六花の方が遥かに上だし、何より心根がまるで違う。
彼女から目を離し、教室を見回して別の人物を探す。探していたのは、あの時に僕にトラップを仕掛けた首謀者。僕にボコボコに殴られたイケメンだ。
名前は確か、成瀬天馬。彼はこちらを見ようともせず、隣の席のクラスメイトと雑談して笑っている。
成瀬のところへ行こうと席から立ち上がったタイミングで、始業のチャイムが鳴り、担任が教室に入ってきた。仕方なく次の休み時間まで待って、彼の席の前に立った。
「ちょっといいか? 話がある」
「嫌だと言ったら?」
成瀬は明らかに警戒している。あんなに殴られたんだから当然だろう。でも僕としても、ここで引くわけにはいかない。
「それなら放課後、バスケ部に乗り込むまでだ。それでもいいか?」
「……わかったよ。さっさと済ませろ」
僕たちは足早に廊下へ出て、人のいない非常階段の踊り場で向かい合った。
「何の用だ? まだ殴り足りないって言うなら、今度は警察を呼ぶぞ」
「構わないぞ。それで困るのはお前だろう?」
さっきのバスケ部顧問の先生の、“公式戦出場停止”という言葉を思い出したのだ。成瀬は成績優秀でイケメンなだけではなく、中学の頃からバスケのスタープレイヤーで、高校でも一年生ながらレギュラーだと聞く。
案の定、成瀬の肩がビクッと震え、睨んでいた視線が力なく下がった。
「悪かったよ。あんなに怒るとは思わなかったんだ。お前のことも誤解していた。もっと気の小さい男だと思っていた」
「からかっても泣き寝入りしてくれる、都合のいい玩具だとでも思っていたのか?」
「そんなつもりじゃ……。いや、言い訳はやめておこう」
成瀬は一瞬何か言いかけたが、すぐに言葉を切った。そして少しの間迷ってから、少々乱暴に頭を下げる。
「すまなかった、謝る」
「……ああ。殴ったのは、僕も悪かった」
やはり問題を起こされるのが怖いのか、成瀬は意外なほど素直に謝罪した。きっかけはどうあれ、あの件で面と向かって謝罪されたのは初めてだ。だから僕も殴ったことを初めて成瀬に謝った。もっとも、本題はここからだ。
「ところで、一つ頼みがある」
「何だ?」
「バスケ部に入りたいんだ。でも顧問の先生に入部届を受け取ってもらえなかった。だからお前に口添えしてほしい」
「お前がバスケ部に? 一体どうして……。バスケに興味なんてあったのか?」
そう言いながら、成瀬が僕の頭のてっぺんから爪先までをしげしげと眺める。確かにこんなに太っている奴がバスケ部に入るなんて珍しいだろう。
「別に無理にとは言わない。気が進まないなら他の方法を探すよ。でも、もしこのことでまた僕を笑い者にするなら、本当にお前の名前を叫びながら部室に殴り込むからな」
正直、この男にそこまで期待はしていない。バスケ部員の知り合いは成瀬だけだから、だめで元々、というつもりで頼んだのだ。そして最低限、入部の妨害はされないように釘を刺しておこうと思った。
ところが、立ち去ろうとした僕を、成瀬は不満そうな顔で止めた。
「待てよ、まだ何も言ってないだろ?」
成瀬はそう言いながら、相変わらず僕をじろじろと見て、最後に首をかしげた。
「お前……少し痩せたか?」
「停学中に10㎏ほど落とした」
現時点でも見てわかるくらいには痩せたのか、と密かに喜ぶ。まだまだ目標にはほど遠いのだが。
六花にバスケ勝負を持ちかけられた日から今日まで、運動だけでなく食生活の改善も続けてきた。現在の体重は110㎏。少し落ちるペースはダウンしてきたが、どうにかして70㎏までは落とすつもりだ。
「そうか、本気なんだな」
成瀬はそう言って少し考えてから、僕の顔を見て頷いた。
「よし、わかった。放課後、ジャージに着替えて体育館に来い」
予想を超えた展開に、僕は一瞬戸惑ってから、わかった、と答えた。
こうして、仲直りだか取引だかわからないが、僕と成瀬はひとまず和解したのだった。
*
放課後、約束通りジャージを着て体育館に行くと、すでに何人かのバスケ部員たちが練習を始めていた。床にはボールが何個も転がり、シューズの擦れる音やボールがバウンドする音が響いている。
部活開始前の自主練習だろうか。シュート練習に励む人や、パスの練習をするペアなどが機敏に動き回り、体育館は活気に満ちていた。
成瀬が僕を見つけて、一際背の高い上級生と一緒にやって来た。この人がバスケ部のキャプテンらしい。
「君が江夏君か。成瀬から話は聞いた。暴力事件の被害者である彼自らが君を推薦してるんだから、無碍に断るわけにはいかないな」
「ありがとうございます」
キャプテンに深々と頭を下げる。正直、一方的に成瀬を被害者呼ばわりするのはどうなんだ、と文句を言いたくなったが、今は入部を認めてもらうことが何より大事だ。話の腰を折るわけにもいかない。
顧問の先生とも相談して、一か月の仮入部期間を設けることにした、とキャプテンは言った。その間の練習態度や出席率で、僕の正式な入部を認めるかどうかの最終判断を下すのだという。
それで構いません、と答えると、キャプテンは満足そうに頷いた。
「よし、では江夏空の仮入部を認める。練習は明日からと思ったが……ジャージを着てきたなら、今日から参加してもらうか」
そう言って、キャプテンが成瀬の肩を叩く。
「成瀬、お前が面倒を見る約束だ。基礎からしっかり教えてやれ」
「はい!」
体育館の隅で、成瀬によるマンツーマンの指導が始まった。
僕は成瀬のことを、人を見下し、馬鹿にして面白がるような最低な人間だと思っていたが、彼のバスケに対する姿勢は真摯なのかもしれない。その指導はわかりやすく、丁寧だった。
「今日の練習はここまでだ。朝練は毎朝六時から。レギュラーメンバー以外は参加自由だけど、どうする?」
疲れ果てて体育館の床に座り込んでいると、キャプテンがそう尋ねてきた。答えはもちろん決まっている。
「ぜひ参加させてください。よろしくお願いします!」
何とか息を整え、そう答えて頭を下げる。
キャプテンは驚いた表情で僕の顔をまじまじと見つめて、やがて大きく頷いた。僕が練習でへばっていたので、朝練は断ると思ったのだろう。
「江夏、一つ聞いてもいいか? 君は全くの初心者だよな。なぜ突然バスケを始めようと思ったんだ?」
「どうしても勝ちたい相手がいるからです」
僕の答えに、キャプテンはポカンと口を開け、すぐに堪えきれない様子でプッと噴き出した。まるで少年マンガの主人公のようなセリフが面白かったのだろう。だが今は、馬鹿にされたとは感じなかった。
復学初日の今日、僕は早めに登校して職員室を訪れた。担任から顔を出すように言われていたし、何より重要な用事があったからだ。
担任のところへ挨拶に行き、通り一遍の訓示を大人しく聞いて頭を下げてから、少し離れた体育教師の席に向かう。この先生はバスケ部の顧問で、僕の目的は入部届を出すことだった。
「お前がバスケ部だと? 一体何を考えているんだ」
開口一番、先生は怪訝な口調でそう言った。明らかにこちらを快く思っていない。
それはそうだろう。先生は生活指導の担当で、僕に停学処分を告げた、まさにその人だ。おまけに僕は反省文を書けと手渡された用紙を、先生の目の前で破り捨てたんだから。
「停学明けの僕が、心を入れ替えて部活を始めるのって、そんなに変ですか?」
「そうは言わんが、うちのバスケ部は強豪だ。お前、何かスポーツの経験あるのか? その体でいきなりハードな練習をしたら膝を壊すだけだ。やめておけ」
先生の物言いにイラッとしたが、事実だから仕方がない。体型を抜きにしても、僕に運動歴がないことなんて体育の授業でお見通しだろう。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。僕はさらに一歩前に出て、先生に詰め寄るような姿勢で言い募る。
「体重は落とします。それにレギュラーを目指しているわけじゃなくて、ただバスケがやりたいだけなんです」
「ならばはっきり言うが、うちのバスケ部は全国大会の常連なんだ。素行の悪い生徒が入部してトラブルを起こすと、公式戦に出場できなくなる。悪いが諦めろ」
先生はそう言うと、もう僕の方を見ようともせずに机に向かった。
「……また来ます」
それだけ言って職員室を出る。
覚悟していたとはいえ、取りつく島もない状況だ。もちろん、このまま諦めるつもりはなかった。
*
教室のドアを開けると、中に居た全員の視線が一斉にこちらに集中した。一瞬たじろいだが、気にせず足早に自分の席へ向かう。
視線が集まったのはほんの一瞬だったらしく、僕が席に着いた時には、もう誰もこちらを見ていなかった。停学前によく耳にした悪口も、今は聞こえてこない。
しばらくして、一人の女子がこちらをチラチラと見ているのに気づいた。例の事件で僕にニセモノのラブレターを送ってきた、あの子だ。目が合うと、彼女は気まずそうに視線を逸らし、何事もなかったかのように前を向いた。
あの事件の前なら、僕はそれだけで丸一日ドキドキしていただろう。でも今は、もう何も感じない。僕を陥れたことへの怒りさえも沸いてこない。
もう彼女に少しも興味がないんだな、とあらためて思う。今でも彼女はクラスで一番の美少女だと思っている。でもそれだけだった。顔もスタイルも六花の方が遥かに上だし、何より心根がまるで違う。
彼女から目を離し、教室を見回して別の人物を探す。探していたのは、あの時に僕にトラップを仕掛けた首謀者。僕にボコボコに殴られたイケメンだ。
名前は確か、成瀬天馬。彼はこちらを見ようともせず、隣の席のクラスメイトと雑談して笑っている。
成瀬のところへ行こうと席から立ち上がったタイミングで、始業のチャイムが鳴り、担任が教室に入ってきた。仕方なく次の休み時間まで待って、彼の席の前に立った。
「ちょっといいか? 話がある」
「嫌だと言ったら?」
成瀬は明らかに警戒している。あんなに殴られたんだから当然だろう。でも僕としても、ここで引くわけにはいかない。
「それなら放課後、バスケ部に乗り込むまでだ。それでもいいか?」
「……わかったよ。さっさと済ませろ」
僕たちは足早に廊下へ出て、人のいない非常階段の踊り場で向かい合った。
「何の用だ? まだ殴り足りないって言うなら、今度は警察を呼ぶぞ」
「構わないぞ。それで困るのはお前だろう?」
さっきのバスケ部顧問の先生の、“公式戦出場停止”という言葉を思い出したのだ。成瀬は成績優秀でイケメンなだけではなく、中学の頃からバスケのスタープレイヤーで、高校でも一年生ながらレギュラーだと聞く。
案の定、成瀬の肩がビクッと震え、睨んでいた視線が力なく下がった。
「悪かったよ。あんなに怒るとは思わなかったんだ。お前のことも誤解していた。もっと気の小さい男だと思っていた」
「からかっても泣き寝入りしてくれる、都合のいい玩具だとでも思っていたのか?」
「そんなつもりじゃ……。いや、言い訳はやめておこう」
成瀬は一瞬何か言いかけたが、すぐに言葉を切った。そして少しの間迷ってから、少々乱暴に頭を下げる。
「すまなかった、謝る」
「……ああ。殴ったのは、僕も悪かった」
やはり問題を起こされるのが怖いのか、成瀬は意外なほど素直に謝罪した。きっかけはどうあれ、あの件で面と向かって謝罪されたのは初めてだ。だから僕も殴ったことを初めて成瀬に謝った。もっとも、本題はここからだ。
「ところで、一つ頼みがある」
「何だ?」
「バスケ部に入りたいんだ。でも顧問の先生に入部届を受け取ってもらえなかった。だからお前に口添えしてほしい」
「お前がバスケ部に? 一体どうして……。バスケに興味なんてあったのか?」
そう言いながら、成瀬が僕の頭のてっぺんから爪先までをしげしげと眺める。確かにこんなに太っている奴がバスケ部に入るなんて珍しいだろう。
「別に無理にとは言わない。気が進まないなら他の方法を探すよ。でも、もしこのことでまた僕を笑い者にするなら、本当にお前の名前を叫びながら部室に殴り込むからな」
正直、この男にそこまで期待はしていない。バスケ部員の知り合いは成瀬だけだから、だめで元々、というつもりで頼んだのだ。そして最低限、入部の妨害はされないように釘を刺しておこうと思った。
ところが、立ち去ろうとした僕を、成瀬は不満そうな顔で止めた。
「待てよ、まだ何も言ってないだろ?」
成瀬はそう言いながら、相変わらず僕をじろじろと見て、最後に首をかしげた。
「お前……少し痩せたか?」
「停学中に10㎏ほど落とした」
現時点でも見てわかるくらいには痩せたのか、と密かに喜ぶ。まだまだ目標にはほど遠いのだが。
六花にバスケ勝負を持ちかけられた日から今日まで、運動だけでなく食生活の改善も続けてきた。現在の体重は110㎏。少し落ちるペースはダウンしてきたが、どうにかして70㎏までは落とすつもりだ。
「そうか、本気なんだな」
成瀬はそう言って少し考えてから、僕の顔を見て頷いた。
「よし、わかった。放課後、ジャージに着替えて体育館に来い」
予想を超えた展開に、僕は一瞬戸惑ってから、わかった、と答えた。
こうして、仲直りだか取引だかわからないが、僕と成瀬はひとまず和解したのだった。
*
放課後、約束通りジャージを着て体育館に行くと、すでに何人かのバスケ部員たちが練習を始めていた。床にはボールが何個も転がり、シューズの擦れる音やボールがバウンドする音が響いている。
部活開始前の自主練習だろうか。シュート練習に励む人や、パスの練習をするペアなどが機敏に動き回り、体育館は活気に満ちていた。
成瀬が僕を見つけて、一際背の高い上級生と一緒にやって来た。この人がバスケ部のキャプテンらしい。
「君が江夏君か。成瀬から話は聞いた。暴力事件の被害者である彼自らが君を推薦してるんだから、無碍に断るわけにはいかないな」
「ありがとうございます」
キャプテンに深々と頭を下げる。正直、一方的に成瀬を被害者呼ばわりするのはどうなんだ、と文句を言いたくなったが、今は入部を認めてもらうことが何より大事だ。話の腰を折るわけにもいかない。
顧問の先生とも相談して、一か月の仮入部期間を設けることにした、とキャプテンは言った。その間の練習態度や出席率で、僕の正式な入部を認めるかどうかの最終判断を下すのだという。
それで構いません、と答えると、キャプテンは満足そうに頷いた。
「よし、では江夏空の仮入部を認める。練習は明日からと思ったが……ジャージを着てきたなら、今日から参加してもらうか」
そう言って、キャプテンが成瀬の肩を叩く。
「成瀬、お前が面倒を見る約束だ。基礎からしっかり教えてやれ」
「はい!」
体育館の隅で、成瀬によるマンツーマンの指導が始まった。
僕は成瀬のことを、人を見下し、馬鹿にして面白がるような最低な人間だと思っていたが、彼のバスケに対する姿勢は真摯なのかもしれない。その指導はわかりやすく、丁寧だった。
「今日の練習はここまでだ。朝練は毎朝六時から。レギュラーメンバー以外は参加自由だけど、どうする?」
疲れ果てて体育館の床に座り込んでいると、キャプテンがそう尋ねてきた。答えはもちろん決まっている。
「ぜひ参加させてください。よろしくお願いします!」
何とか息を整え、そう答えて頭を下げる。
キャプテンは驚いた表情で僕の顔をまじまじと見つめて、やがて大きく頷いた。僕が練習でへばっていたので、朝練は断ると思ったのだろう。
「江夏、一つ聞いてもいいか? 君は全くの初心者だよな。なぜ突然バスケを始めようと思ったんだ?」
「どうしても勝ちたい相手がいるからです」
僕の答えに、キャプテンはポカンと口を開け、すぐに堪えきれない様子でプッと噴き出した。まるで少年マンガの主人公のようなセリフが面白かったのだろう。だが今は、馬鹿にされたとは感じなかった。