鏡よ鏡。
 この世で一番美しい人は誰―…。
 鏡よ鏡。
 この世で一番のヴィランは誰―…。
 

 一目見て思った。この人はまるで人狼だと。
 話している時の目線と表情。
 危険だと思う不思議な魅力。
 分かっているのに目が離せない。
 彼は数多くいる獲物を見極め、狙いを定めてやってくる。
 まるで、より美味しそうで、より自分の興味をそそる獲物しか狙わない、獣のように。

 写真なんて一枚もない。
 お揃いの物だって一つもない。
 なのにどうして、こんなにも苦しいのだろう。
 どうしてこんなに、気になってしまうのだろう。 
 私はどうして、彼を手放せないんだろう。
 私はどうして、短い夢を見続けているのだろう。