さて、お待ちかねの時間だ。
二年A組から順番に自分の名前を探していく。
枢木一織はどこだ。
A組……ない。次はB組……ない。
そして、C組…………、あった!
自分の名前の少し後ろに螺良の名前も見つけて、ほっと息を吐く。彼がいれば、クラスの雰囲気が悪くなることはないだろう。
「やったね、委員長! 今年もよろしく」
「こちらこそ」
ほとんど同じタイミングで名前を見つけた螺良がイェーイと差し出した手にグータッチを返せば、自分まで陽キャになったように錯覚してしまう。螺良って、すごい。周りを自分の色に染める天才だ。
そんなことを考えていると、後からやってきてクラス分けを確認していた女子グループが突然「キャー!」と叫んだ。さながら、芸能人に遭遇したかのよう。興奮しているせいで、会話の内容も丸聞こえだ。
「待って、頼と一緒なんだけど!」
「え、すご! 去年ずっと好きって言ってたもんね、おめでとう」
「……隣のクラスだったら、体育は一緒だよね」
「隣でもいいなぁ。私なんか、また窓から眺める組だよ」
悲鳴の理由は、自分たちのクラスではないらしい。
何をそんなに大騒ぎするほどのことが……、と思いつつ、自分には関係ないかと興味をなくしかけたときだった。螺良が渦中の名前を口にした。