「ママ、パパお帰りなさい」
家に帰るなり、愛しいひなたが迎えてくれる。
今日つけられた沢山の傷も 、この子を見るとあっという間に癒えてしまう。
私は隣の緋色を覗き見た。
彼の傷はまだ癒えていないように見えて心配になった。
「ママのご飯美味しい!」
「ひなた、お箸も上手になったね。沢山食べて大きくなってね」
ひなたは本当に優しい子だ。
今日は1日中家にいて窮屈で寂しい思いをしてきたのに、私たちの前ではそれを見せない。
そして、彼は手先もとっても器用で補助ばしの使い方もすぐに覚えた。
緋色は食事中ずっと無言だった。
私が美咲さんの話を聞きたいと言ったことや、森田櫻子が彼の親について言及したことが影響してそうだ。
(緋色のお母様は夫の浮気で心を壊したと前に言ってたわ⋯⋯)
私も自分の気持ちを押し付けて「美咲さんの実家」に行きたいなどと言うべきではなかった。
緋色の様子が普段と違う事に、たった2歳のひなたも気がついている。
彼は、いつも以上に良い子に振る舞っていた。
まだ、幼いひなたに気を遣わせてしまって申し訳なくなる。
ひなたをお風呂に入れて眠りにつかせると、私は緋色の寝室に行った。
(ベッドのマットレス⋯⋯いつの間にか新しいものになってる⋯⋯)
「緋色⋯⋯何も話したくないならそれで良いから、側にいても良い?」
私が言った言葉に、彼が戸惑ったような顔をした。
「俺は多分、日陰のことを求めてやまない変態の1人だと思うけど?」
「そうなの? じゃあ、私も緋色を求めてやまない変態かな。1人で悩まないで⋯⋯何のために私がいるの?」
私はベッドに乗り上がって、緋色のサラサラの髪を撫でた。
彼が何を考えているなんて正確には分からないけれど、自分の気持ちは分かる。
私は彼のことが好きで、彼の悩みを取り除いてあげたい。
「⋯⋯日陰は、ただ側にいてくれればそれで良い」
「私も緋色に対して、同じこと思ってるよ」
私は緋色の言葉に、微笑みながら返事した。
彼がゆっくりと私を押し倒してくる。
脳が溶けそうな深い口づけをされて、クラクラしてきた。
これから何が起こるかと思うと緊張するけれど、私は彼を受け入れる。
♢♢♢
朝起きると、とても良い匂いがした。
ベッドから起き上がり、ダイニングルームに急いだ。
テーブルには、旅館の朝食のような丁寧な料理が並んでいる
(朝から、すごい⋯⋯私も頑張らなきゃ)
「おはよう、緋色! 朝ごはんは私が作らなければいけなかったのに⋯⋯」
「俺が作りたかったから良いんだよ」
ひなたを起こしてきた方が良いのだろうけれど、もう少し2人の時間が欲しいと思ってしまう。
昨晩のことを思い出すと恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
私は緋色と顔をまともに合わせることができないまま席についた。
昨晩、緋色にされたキス以上のことは、やはり私の知っていたものとは違った。
想像以上に凄くて、すっかり白川緋色の女にされてしまった。
私はどうして良いか分からなくて、必死に彼にしがみついていた気がする
彼に余すところなく触れられ、感じ過ぎて意識が飛んだのか気がつけば朝になっていた。
(母親だから乱れるわけにいかないと言ったくせに⋯⋯)
彼はかなり独占欲が強い人だったようだ。
私を自分のものにしたくして堪らない気持ちが伝わってきた。
「日陰⋯⋯体は大丈夫?」
「大丈夫! これが毎日続くと大丈夫かは分からないけど⋯⋯」
「毎日、俺に抱かれたいって思ってくれてるんだ」
私は唐突な緋色の発言にこたえられなかった。
私は逃げるように、ひなたを起こしに行った。
「ママ、パパ、おはよー!」
「ひなた、おはよう。そうだ、今日はサンタさんにお手紙を書こうか」
「僕、妹と弟が欲しいって書く!」
なぜか可愛いはずのひなたの発言が卑猥なものに聞こえるのは、私の問題だ。
でも、余命の問題も解決して、小笠原家の恐怖から逃れられたらゆくゆくは⋯⋯。
私はそっと向かいに座る緋色を覗き見ると にっこりと微笑まれた。
(なんか、すごく照れる⋯⋯)
「僕の名前はママとお揃いだよね。ひなたはお日様が当たるところで、日陰はお日様の影になっているところでしょ」
ひなたの言葉にドキっと心臓が跳ねた。
ひなたと私は血が繋がっていないけれど、言われてみれば名前がお揃いだ。
「ひなた、随分物知りなんだな。まだ、2歳なのに」
緋色がお父さんの顔をして、ひなたを見つめていてほっこりする。
確かに弱冠2歳でそんな科学的なことを知っているなんて、ひなたは物知り博士だ。
「僕は日陰の方が好き! ひなたは暑いし、眩しいもん」
「私はひなたが好きかな。ポカポカあったかいから」
「パパは日陰もひなたも両方好きだ」
緋色が私とひなたの頭を撫でてくる。
私は涙が出そうなくらい幸せな時間を過ごしてきた。
自分の名前の意味を深く考えたことはなかったが、愛人の子と知ってからは「日陰者」という意味で名付けられたのかと思っていた。
しかし、ひなたと緋色が好きだと言ってくれて温かい気持ちになった。
「ひなた、今日もお家で過ごすことになる。もう少しだけ我慢してくれないか?」
「いいよ。僕、お家も好きだから」
「ひなたはブロック遊びが上手だものね。今度、3人で公園に遊びに行こうね」
外での安全が確保できない以上、仕方がない。
しかし、いつか家族で公園に遊びに行きたいと思った。
家に帰るなり、愛しいひなたが迎えてくれる。
今日つけられた沢山の傷も 、この子を見るとあっという間に癒えてしまう。
私は隣の緋色を覗き見た。
彼の傷はまだ癒えていないように見えて心配になった。
「ママのご飯美味しい!」
「ひなた、お箸も上手になったね。沢山食べて大きくなってね」
ひなたは本当に優しい子だ。
今日は1日中家にいて窮屈で寂しい思いをしてきたのに、私たちの前ではそれを見せない。
そして、彼は手先もとっても器用で補助ばしの使い方もすぐに覚えた。
緋色は食事中ずっと無言だった。
私が美咲さんの話を聞きたいと言ったことや、森田櫻子が彼の親について言及したことが影響してそうだ。
(緋色のお母様は夫の浮気で心を壊したと前に言ってたわ⋯⋯)
私も自分の気持ちを押し付けて「美咲さんの実家」に行きたいなどと言うべきではなかった。
緋色の様子が普段と違う事に、たった2歳のひなたも気がついている。
彼は、いつも以上に良い子に振る舞っていた。
まだ、幼いひなたに気を遣わせてしまって申し訳なくなる。
ひなたをお風呂に入れて眠りにつかせると、私は緋色の寝室に行った。
(ベッドのマットレス⋯⋯いつの間にか新しいものになってる⋯⋯)
「緋色⋯⋯何も話したくないならそれで良いから、側にいても良い?」
私が言った言葉に、彼が戸惑ったような顔をした。
「俺は多分、日陰のことを求めてやまない変態の1人だと思うけど?」
「そうなの? じゃあ、私も緋色を求めてやまない変態かな。1人で悩まないで⋯⋯何のために私がいるの?」
私はベッドに乗り上がって、緋色のサラサラの髪を撫でた。
彼が何を考えているなんて正確には分からないけれど、自分の気持ちは分かる。
私は彼のことが好きで、彼の悩みを取り除いてあげたい。
「⋯⋯日陰は、ただ側にいてくれればそれで良い」
「私も緋色に対して、同じこと思ってるよ」
私は緋色の言葉に、微笑みながら返事した。
彼がゆっくりと私を押し倒してくる。
脳が溶けそうな深い口づけをされて、クラクラしてきた。
これから何が起こるかと思うと緊張するけれど、私は彼を受け入れる。
♢♢♢
朝起きると、とても良い匂いがした。
ベッドから起き上がり、ダイニングルームに急いだ。
テーブルには、旅館の朝食のような丁寧な料理が並んでいる
(朝から、すごい⋯⋯私も頑張らなきゃ)
「おはよう、緋色! 朝ごはんは私が作らなければいけなかったのに⋯⋯」
「俺が作りたかったから良いんだよ」
ひなたを起こしてきた方が良いのだろうけれど、もう少し2人の時間が欲しいと思ってしまう。
昨晩のことを思い出すと恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
私は緋色と顔をまともに合わせることができないまま席についた。
昨晩、緋色にされたキス以上のことは、やはり私の知っていたものとは違った。
想像以上に凄くて、すっかり白川緋色の女にされてしまった。
私はどうして良いか分からなくて、必死に彼にしがみついていた気がする
彼に余すところなく触れられ、感じ過ぎて意識が飛んだのか気がつけば朝になっていた。
(母親だから乱れるわけにいかないと言ったくせに⋯⋯)
彼はかなり独占欲が強い人だったようだ。
私を自分のものにしたくして堪らない気持ちが伝わってきた。
「日陰⋯⋯体は大丈夫?」
「大丈夫! これが毎日続くと大丈夫かは分からないけど⋯⋯」
「毎日、俺に抱かれたいって思ってくれてるんだ」
私は唐突な緋色の発言にこたえられなかった。
私は逃げるように、ひなたを起こしに行った。
「ママ、パパ、おはよー!」
「ひなた、おはよう。そうだ、今日はサンタさんにお手紙を書こうか」
「僕、妹と弟が欲しいって書く!」
なぜか可愛いはずのひなたの発言が卑猥なものに聞こえるのは、私の問題だ。
でも、余命の問題も解決して、小笠原家の恐怖から逃れられたらゆくゆくは⋯⋯。
私はそっと向かいに座る緋色を覗き見ると にっこりと微笑まれた。
(なんか、すごく照れる⋯⋯)
「僕の名前はママとお揃いだよね。ひなたはお日様が当たるところで、日陰はお日様の影になっているところでしょ」
ひなたの言葉にドキっと心臓が跳ねた。
ひなたと私は血が繋がっていないけれど、言われてみれば名前がお揃いだ。
「ひなた、随分物知りなんだな。まだ、2歳なのに」
緋色がお父さんの顔をして、ひなたを見つめていてほっこりする。
確かに弱冠2歳でそんな科学的なことを知っているなんて、ひなたは物知り博士だ。
「僕は日陰の方が好き! ひなたは暑いし、眩しいもん」
「私はひなたが好きかな。ポカポカあったかいから」
「パパは日陰もひなたも両方好きだ」
緋色が私とひなたの頭を撫でてくる。
私は涙が出そうなくらい幸せな時間を過ごしてきた。
自分の名前の意味を深く考えたことはなかったが、愛人の子と知ってからは「日陰者」という意味で名付けられたのかと思っていた。
しかし、ひなたと緋色が好きだと言ってくれて温かい気持ちになった。
「ひなた、今日もお家で過ごすことになる。もう少しだけ我慢してくれないか?」
「いいよ。僕、お家も好きだから」
「ひなたはブロック遊びが上手だものね。今度、3人で公園に遊びに行こうね」
外での安全が確保できない以上、仕方がない。
しかし、いつか家族で公園に遊びに行きたいと思った。