✱✱✱✱✱✱✱Side 十六夜   ✱✱✱✱✱✱✱

天狗の手下たちが十六夜を海に放り投げた後、ミク(鹿の姿)はヒョコッと顔を出した

「十六夜様〜十六夜様〜困ったの…鹿には海は無理なの」
十六夜の名を呼ぶが返事がなく困っていると「ミク〜」と遠くから声が聞こえると葵がフラフラしながら飛んでいた。
「葵、無事だったの〜」

葵はミクの頭に乗り、体を休めた。
「しばらく休めば回復するから頑張るなの、葵」
「ええ…そうさせていただきますわん」

「十六夜様…」
ウルウル涙目になっていると海から巨大な生物?が現れた。

「わぁあぁ〜おっきな亀さんなの!龍宮城に連れて行ってくれそうなの〜」

巨大な亀は甲羅の上に乗っている人物をスルリと滑らせ地面に落とした。

「十六夜様なの!亀さんありがとうなの〜」
ミクは意識がない十六夜の姿を確認すると嬉しそうに亀にお辞儀をした。

『どきなさい』

ミクは指示通り離れると亀は後ろを向くと2匹の白蛇がいた。
白蛇たちは十六夜の体にドスドスドスと容赦なく頭突きを食らわす。

「あら、大胆♪」
「きゃうぅぅっ!十六夜様死んじゃうのぉ!!」

冷静な葵に対してミクは大慌てだ。

『……っ!』

「十六夜様!良かったの!」
『…ミク…葵…うっ…!』
目を開けミクと葵の姿を確認するが体が全く動かない。あの剣で受けた傷は相当な時間を費やさなければ治らない。
一刻を争う十六夜にとっては今、体が動かなくては困る。

『榛名…』
愛しい人の名を呟き、榛名からプレゼントしてもらったペンダントをずっと手を離さず握りしめていた。

十六夜が榛名の名を呼ぶと黒い石は虹色に輝き、十六夜の体を治してゆく。

『これは榛名の神通力か…』
榛名はペンダントの石に自分の神通力を、十六夜への想いを強くこめて贈ったいた。

『榛名…お前に助けらたのにオレは……ん?』
上半身だけ起き上がり目の前をみると巨大な亀がいた

『ほぅ…たしかに凄いですねぇ』

『お…お前どうして!!』

驚く十六夜に、亀は冷静だった。


亀は人型に姿に変えた。


「知ってる方なの?」

『ああ…あいつは玄武(げんぶ)………翡翠(ひすい)だ』