2日後、天狗と妖狐の話し合いが行われる日だ。

榛名は翼の治療にすぐ行きたかったが、十六夜から許可されずソワソワ落ち着かない時を過ごしていた。

十六夜は東丿島に向かうため龍の姿になった。
榛名は神子の正装に着替え、いつものように十六夜(龍)の頭に乗る。

『ムク、ミク!お前たちもこい』
「ボクたちもなの?」
「了解ですぅ!」

『光希と七宝はここに居てくれ。ここはアヤカシや人間に見つけられない。見つけられても結界で入ることはできないから絶対安全だからな』

「はい」
「ご武運を」

光希と七宝は十六夜たちを見送った。



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光希と七宝は十六夜たちが東丿島に着くであろう時間まで海を眺めていた。


「光希、屋敷の中で待っていよう」
「はい」
屋敷まで移動しようと歩きだすと後ろから声を掛けられた。

『こんにちは。突然の訪問、失礼しますよ』

「え?」
「……!」
ビックリして振り向くと男性が立っていた。
十六夜から人間やアヤカシは入ってこない安全な場所だと聞いていた場所に入ってきた男性。


『榛名という神子はこちらにいらっしゃいますか?一度拝見させていただきたく、訪問したのですが…』

「も…申し訳ございません。榛名様は不在です」

『…ふーむ。そうですか…ではまた伺いますね。十六夜にも宜しくお伝えください』

「わかり…」
七宝が返答する前に男性は瞬間移動でもしたかのように消えてしまった。


「七宝様……あの方…」
「うん…初めてみた」