✱✱✱Side それぞれの思惑と…雪愛編 ✱✱✱

十六夜たちが去った後、島の住人たちもそれぞれ解散し戻っ行ったのだが、口々に「神通力、凄かった」だの「榛名様が選ばれた理由がわかる」「それに比べて雪愛様の態度…」「榛名様の謙虚さを見習うべき」など榛名を讃え、雪愛は比べられるような発言をしているのだ。


イライラも最高潮になり、そろそろ限界に来た寸前に翼と冬史郎から声を掛けられ一旦は怒りを抑えた

「雪愛!龍神様に番になりたいとかどうゆうつもりだよ!!」

(は?マジでうぜぇよ。もう天狗なんてなんの魅力もないんだよクソが!)

「だって〜忌み子が神子なんてあり得ないって、雪愛様が神子に違いないって皆が思ってたはずよ?私が自ら声をあげただけだもん!」

「ならいいけど…俺は親父に神子のこと報告してくるから今日は向こうに帰るな」
「淋しいよ〜でも私、我慢するねっ」

(うぜぇな…もう帰ってこなくていいわ〜)


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雪愛は生まれた時から霊力が強かった。
生まれて間もない頃に天狗のアヤカシの番になった。

雪愛は物事がついた時には両親や島中から讃えられ甘やかされ我儘になっていた

4歳の時に少しだけ年上の翼と出会い仲良くなった。
数年後に番の話しを聞いた時にはこの人のお嫁さんになれるんだと嬉しかったほどだ。

雪愛には8歳上の兄の冬史郎と2歳上の姉の榛名がいた。島の住人たちも両親も兄も翼も全員が雪愛を甘やかし我儘も全て気に入れてくれた中に1人だけ…榛名だけが雪愛に厳しくしていた。

雪愛は榛名が大嫌いだった。

榛名は長女でアヤカシの番になるから失礼にならないようにと両親から厳しく稽古や躾をされていた。

雪愛は躾も稽古もしなくていい。常に可愛がられ苦労もなく全てを手に入れた完璧な自分に嫉妬しているから辛くあたるんだろうと。

榛名は雪愛を大切にしていたからこそ厳しくしたのだが、伝わらなかったようだ。


榛名が8歳になってから数年見なくなった。
雪愛が10歳、榛名が12歳の時にボロボロで父親から鞭打ちをされ泣き叫んでいるところをみた。

のちに忌み子の話しを聞き「私に嫉妬した罰ね、いい気味♪」と思い、大嫌いな榛名を虐めることにした。

大嫌いな榛名が泣きながら許しを請う姿は快感だった。


そんな榛名が生贄になり、虐めのターゲットが居なくなり、ストレスが溜まっては同級生を虐めていると神代光希が出てきた。
光希は格下の番のくせに本家の人間ってだけで手を出せない相手に腹が立つ。
だけど冬史郎と翼を使い虐めてやった。
番の狐も一緒に。光希は何も言わないから意外と虐めやすかった。




十六夜と榛名が東丿島にやってきた。

翼から龍神様は絶世の美形と聞いていたが、実物は想像以上だ。この世の言葉じゃきっと表せないほどの美形だ。

その十六夜が榛名を大事そうにしている。許せない。

しかも神子だ、番だの…忌み子のクセに私より上なんて許せない。

絶世の美形と幸せそうにキスして許せない。


私が持ってない神通力を見せびらかして許せない。


光希や妖狐を虐めてやったのに台無しにしやがって許せない。





十六夜とかいう龍神様が絶対欲しい



「本来なら私が龍神様も神子も龍神様の番も神通力も手に入れてたの。あの塵(榛名)に全部奪われたんだ!私のモノを盗まれたんだ!じゃなきゃ完璧な私が天狗ごときの番で忌み子ごときが龍神なんてありえないわ!」



怒りと憎しみが沸騰しそうになるほど強くなる



「絶対、奪い返してやる!全て私が与えらるはずの力を!」