「もしや龍神様ですか?」
『そうだが…お前は?』

声を掛けて来たのは榛名も知っている人物だ

「私は神代家当主・神代清正(かみしろきょまさ)と申します。この東丿島にお戻りになられたんですね」

『神代の…戻ったつもりもない。俺様は所用で寄ったに過ぎない』

「そうですか…」
清正は少し残念そうな顔をする。神代家は初代神子と十六夜の子孫で、龍神を祀る一族なので捨てられた事を気にしてるのかもしれない。当時の経緯は知っているのか謎だが。


「失礼ですが、そのお連れしているのは…生贄に出した忌み子……」

榛名はビクッとなる。心臓がバクバクしている。
清正だけではなく、島の住人たちから注目を浴びる。

住人の中には困惑している者が殆どだが、中には生贄が戻った事で災いや忌み子の榛名に嫌悪感を抱く者もいた。


十六夜は繫いでいた手を離し、榛名の肩を抱き、引き寄せた。


『榛名は俺の…龍神、いや青龍の神子だ』

「十六夜…」

改めて神子だと紹介されると恥ずかしくてなんだか顔が燃えるように熱い。


住人たちがどよめく