『八重の能力は予言。だから俺は待ち続け…八重の魂を持つお前に出会えた時は歓喜したよ。しかも神通力が癒やしの力だと気づき俺にとって幸運がやって来たと。…俺はお前の傷を見て島ではよくない扱いを受けていると察し、お前にわざと選択肢を与え、生贄として生きるよう選ばせた。その方が俺に忠実になるからな』

(…十六夜様?なんだか落ちつかないよう…)


『最初は八重以外の女と接吻や抱くなどと感情すらなかった。お前を抱きしめたり唇を重ねていると俺はいつの間にか安心感のような全てを包むような優しい心地になるんだ』

「十六夜様…」

『俺はずっと八重への愛を裏切れないと思った。だが同時にお前を愛してしまい数日、八重のことも榛名のことも考えた。そろそろ俺は過去に囚われず新しい神生(じんせい)を生きても良いのかと考え直した』

十六夜は榛名の前に片足をつく

「えっ…」



手を差し伸べた

『榛名、俺の神生(じんせい)の隣にいてほしい。青龍・十六夜の神子として、そして(つがい)として共に生きていただけないか』

十六夜の手を迷わず取る

「はい!私の命の限り十六夜様に尽くし愛し続けます」


『俺は沢山のモノを破壊し殺した…そんな神でもいいのか?』

「昔のことはわかりません。でも私は貴方の優しさに触れ、好きになりました。私はそんな十六夜様を愛しているんです」

『お前は本当に俺の全てを受け入れてくれるな。ありがとう榛名。俺も命の限り尽くし愛すと誓おう』


榛名と十六夜は抱きしめ合い、唇を優しく、時には激しく何度も何度も重ねた。



十六夜の闇を癒すための「お役目」ではない、愛し合う「番」としてだ。



榛名は閉ざしていた心を解放し、神通力が最大限に覚醒した。