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「ピィ!」

「目が覚めたなの?」
「辛い夢でもみたですぅ?」

「ピィ…」

『お前に何があった?話せるな?』

「……ピィ。…ピピ…」


話を聞くと東丿島で羽を休めするためにやって来たら3人組の男女に襲われ、数日間酷い目にあい、命からがら逃げて来たそうだ。

「頑張ったですぅね」
「もう大丈夫なの!ハルナ様が治してくれたの!」

「ピ??」

木陰に隠れていた榛名が顔をみせると海鳥は怒りで興奮していた。

『礼くらい言ったらどうだ』

「ハルナ様の癒やしの力発揮なの!」
「ですぅ〜」

榛名は興奮している海鳥に近づき、体を何度か撫でると海鳥は「ピェ!」と一瞬驚くも安らいだように落ち着いた。

「どうしたんでしょう、急に」

『お前が治癒の力を使った時の温もりを覚えていて、忘れられなかったんだろ』

そう聞くとなんだか嬉しかった。

「鳥さん、フワフワです。なんという鳥さんなんですかね?」

『知らん。この鳥に聞いても人間が勝手に付けたものなんてわからないと言っていた。朱雀や玄武なら知ってるかもな』

「朱雀様はたしか南ノ島で玄武様は北ノ島の方の守り神でしたね」


『アイツらは好かんがな。俺様が闇に染まった時に散々嫌味言ってきやがったんだ』

苦い顔をする十六夜を榛名は可愛いと感じてしまうが、言わないよう口を閉じた。



海鳥はすっかり榛名に懐き、十六夜は海鳥を使いとして神通力を注いだ。



海鳥改め『葵』と榛名は名付けた。

「ワタクシ、葵は榛名様のため、尽くしますわん」

「ボクたちの後輩ですぅ」
「でもお姉さんなの〜」

葵はすぐにムクとミクを召使いにする女王様になったが、榛名には甘えている。