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買い出しに行った榛名と十六夜

「いつもの場所と違うんですね」
『ああ。たまにはな…畑を作るんだろ?今日は買い出しで荷物多くなるだろうが、下見でもすればいい』


いつもの場所と違う商業施設はワクワクしてしまう。

「買い物前に色々回っていいですか?」
『構わん。欲しい物があれば買ってやるが、買い出しがあるんだから、程々にしとけよ』



色々回っているとショーウィンドウに展示されていたものに目が吸い寄せられていた。


『欲しいのか?買ってやるから選んでこい』

「え!い、いえ。お高い物ですし結構です」

『高額だろうが気にするな。しかしこれはなんだ?白い洋装のようだが…』

「これはウェディングドレスです。結婚式で花嫁さんが着るものでして…」

榛名は昔、まだ霊力がないと判断される前に絵本や児童書を読んでウェディングドレスや結婚に憧れていた子供時代があった。
東丿島は基本的には和装婚だが、子供時代の榛名はウェディングドレスに憧れ、大好きな兄の冬史郎と本気で結婚したいと思っていた。



『お前も花嫁になりたいのか…』
「いいえ。私は十六夜様の生贄ですから!生贄には無縁ですよ。あ、次の場所行きましょう!」

早足で離れる榛名、十六夜はウェディングドレスを少し眺め、榛名を追いかけた。