十六夜とムクとミクが手伝ってくれたので思ったより早く終わった。
まったりとティータイム…といっても十六夜とムクとミクは水だ。

「ムクちゃんとミクちゃんは鹿だからともかく十六夜様は水飲めるんですか?」
『水も飲む。酒ばかりじゃない』

『お前は檻に入れられた生活してたんだろ?言葉遣いといい知識はあるんだな』

「8歳の誕生日までは普通に生活していましたし、神楽家は神代家に近い分家なので、上位のアヤカシの番になる可能性があるので失礼がないよう厳しく躾られてましたから。牢屋に入れられてからは大人に混じって働き、罰を与えられないよう必死に人の機嫌や可能な限りは色々と覚える事はしました」

(雪愛やお兄様は特に機嫌が悪いと八つ当たりのように折檻されたから無意味だったけど…)

思わず俯いてしまうと十六夜は少し無言になるが聞いておかなければいけない事かあった。

『思い出させてすまんが、昨日のアヤカシは知り合いか?お前を忌み子と言う事は東丿島の誰かの番か?』

「3人中2人は存じ上げませんが、天狗のアヤカシは私の妹、雪愛の番です」
『あの女の…下品な者同士お似合いだな』
十六夜は東丿島に行った時に榛名の悪口を言っていた雪愛をみていた。
十六夜でも雪愛の性格は悪い意味で思うことがあったのだろう。


『家族や島の住人を憎んだり復讐したいと思わなかったのか?』
「いいえ。私は自分の事で手一杯でしたし今は十六夜様に出会えた事が私にとってご褒美で幸せですから」

榛名は精一杯の笑顔を作る、本当に幸せを感じていたからだ。十六夜は肩を引き寄せた。


『お前は優しいな。俺なら許せなかった…』

十六夜は一瞬だけ表情が変わった気がしたが、すぐ榛名を見つめると微笑んだ


(十六夜様…?)


十六夜は榛名にキスをする


「1日2回で言ってませんでした?」
『そうだったか?』