✱✱✱✱✱✱✱Side   十六夜   ✱✱✱✱✱✱✱

帰るとすぐ榛名の顔をみる

『顔色は良くってきたな。湯浴みして体を温めてこい』

「はい」



「あのアヤカシ、ボク達がトドメさしてきていいですぅ?」

「なの!なの!」
ムクとミクは殺る気満々だ。

『やめろ。もう目覚めて帰ってるだろ』

「ちぃーですぅ」
ムクの舌打ちは上手くできず可愛い



十六夜は着替え、ベッドに入った。

基本的にやる事もないので暇なのだ。

少しすると榛名がやってきた。

両膝をつき、頭を下げた。
「先程はお見苦しいところをお見せしました。今一度、御礼を申し上げます。ありがとうございました」


『気にするな。役目を果たせるな?』


「はい」

榛名は浴衣を脱ごうとするが十六夜が止めた

『抱くまで脱がなくていい。骨が見えなくなったら脱げ』


榛名と唇を交わす。

(まだ…下手だな。そういうところも人間の女らしいな)


『ご苦労だった。今日は寝ろ』

腰を抱き、近くまで引き寄せた


「はい。おやすみなさい…」

すぐに寝た榛名、疲れているのかもしれない。



(榛名はあんな美しい女になるとはな)
化粧をした榛名を思い出す。

(…それにしても東丿島はどうなっているんだ…いや、俺もう捨てたんだからどうでもいいか。……俺は八重の魂が無事なら…………ん、俺は八重を助けたかったのか?………)


怯えながらキスを望む、榛名が一瞬よぎる


『…榛名を守りたかった?…いや、八重の魂を持つ、役に立つ女なだけだ』



十六夜は一晩中、眠ることなく榛名を見つめ続けた