番外編④【永遠を共に】


榛名は十六夜と共に天界に行った。

未知の世界に驚きを隠せない榛名。

『やあ。久しぶり〜』
『白虎の……?すまない、榛名以外興味ないんだ』
『ひどいな〜』

天界で初めてお会いした方は龍神…もとい青龍の十六夜と同じ白虎の風雅で十六夜とは親友らしい。
十六夜は榛名のことで頭が一杯で親友の名前すらど忘れしていた。

(十六夜様も美しいのに風雅様も美しいのね…神様はみんな美形なのかな…)

風雅と別れ、神様のところへ挨拶に行った。
神様の神子は優しくおっとりして失礼ながら可愛らしい方だった。


神様の説明だと体はまだ人間のままで年は取らず、少しずつ神と同じ体質?になるそうだ。

「ちょっと不思議…」
『見た目も変わらないから実感は湧かないだろうがな』
十六夜と歩きながら話してはいるが珍しいものばかりでキョロキョロしてしまう。
十六夜はそんな榛名を愛しく微笑ましい目でみていた。


十六夜が住んでいた青龍神殿と呼ばれるかなり広い屋敷にやってきた。

度肝抜かれた榛名は声が出ない。一緒に来たムクとミク、葵も同様だ。

「迷子になりそう…」


もの珍しいものばかりで目が忙しく疲れたので、ひと息つくことにした。
休憩がてらお水をいただいたのだが、天界の神聖な水らしいが榛名には味がわからない。

榛名は雪愛が着けていたリボンのアクセサリーを取り出す。
「雪愛は魂ごと食べられたんですよね?生まれ変わることはできないんですか?」
『俺が八重の魂を永遠にしたかったように魂がなければ生まれ変わることができない』
「そうですか…」
雪愛のリボンを握りしめた。

『お前を虐げた連中など忘れろ』
「嫌な思いもしましたし家族は捨てたはずなんですけど…雪愛はあまりにも最後が哀れでしたから…私に霊力があればせめて良好な関係になっていたのかもと思ってしまいます。忘れ形見としてリボンは持っておこうかと」

雪愛のリボンをギュッと握りしめた。
十六夜は『そうか』としか言わなかった。


しんみりしてしまったので話しを変えた。
「たしかいつでも十六夜様が以前住んでた住処に行けるんでしたよね?」
『ああ。神は自由だから日本だけでなく外国にも行けるな』
「外国…!不法侵入になりませんか?」
『神だから問題ない』

神パワーは本当に凄い。




『榛名、これから先は長い。数百、数千年…ずっと愛し続けるから覚悟はできているか?嫌になっても離さないからな』
「嫌になんて絶対なりません。私の方こそ嫌がられても離れませんからね」

お互い笑い合うとキスを交わす。



これから挨拶周りや榛名の癒やしの力が気になって仕方ない神たちによる榛名歓迎会があるらしく忙しくなりそう。

そんな折、風雅が神子に指名した女性が出来たが怪我をしているので榛名に治療をお願いされた。

『風雅め…どうする?』
「白虎様は西ノ島でしたよね。西ノ島、行ってみたいです」

『風雅には恩があるから仕方ないな。俺から離れるなよ榛名』
「はい」

頭をポリポリかきながらも嬉しそうな十六夜。
風雅にちょっと嫉妬してしまったのは内緒だ