十六夜が帰ってきた。

「おかえりなさい十六夜様」
『ああ』

榛名を抱きしめるとキスをしようとしたがやめ、頭を撫でた
榛名もキスを覚悟していたのだが撫でられたことに困惑した

『…お前の家に行った……』
「………」
十六夜に見られたと思うと心が痛んだ。

十六夜は荷物を渡す
『光希とかいう神代の娘からだ。お前を心配していた』
「光希様が…」
『…お前を食う時以外はあんな人間のクズみたいなことはしないから安心しろ。お前は俺の機嫌だけ気にしていろ』
ポンポンと頭を優しく叩き『早く出かける準備しろ』と榛名を着替えさせようとした。

榛名は自室に戻ると頰を赤らめながら、むず痒い気持ちになったが、それは嫌ではなかった。



服はブランド物ばかりの新品だった。
中には未使用のビキニが入っており、下着代わりに水着を着用した。

「ちょっと胸あたりきついかも…でも贅沢は言えない。光希様に感謝しなくちゃ」
袖は七分丈になってしまったがコートは大きめのため、丁度よかった。
靴もサイズが合わないが、履かないと裸足のままなので、こちらもありがたく使わせていただく。

榛名は十六夜の待つ場所へ向かった

「お待たせしました」

『ああ。左手を出せ』
榛名が恐そる恐そる左手を見せると、十六夜は手を取り左手の薬指に指輪をはめた。


「指輪?」
『お前が俺から逃げないように俺の神通力で作った指輪だ。俺以外外せないし、どこに逃げようとも見つけられる』
「あの…左手の薬指の意味、ご存知ですか?」
『なんだ?』
「左手薬指に指輪をはめるのは婚約者とか結婚相手に愛の誓いとして渡すものですね…」
『人間の世界の話だろ?俺たち神には関係ない』
「そうですか……」
ちょっとドキドキした自分が恥ずかしい榛名

指輪はムーンストーンのような小さな石がはめ込んであった。




十六夜は龍神の姿になる
『俺に掴まることを許す。落とされるなよ』

戸惑いながらも龍の頭あたりにまたがり、角にギュッと掴まると、そのまま飛んでいった