中学の時とはまるで違う。紅本先輩は変わった。
でもそれは、二年も経てば当たり前のことかもしれない。
俺目線だと彼のカッコ良さは二倍増し。音楽に関わってなくて、部活に入ってなくて、生徒会の副会長で、……BLを好んでいる。
でも根本的なところは以前と変わってない。優しくて真っ直ぐで、頼り甲斐がある、俺が好きな先輩のままだ。
「……うん! なーんか二人になって、やっと実感湧いてきたよ。お前も見違えるぐらい背伸びたし、大人になったなぁ。言っても俺よりは低いけど」
「わっ、ちょっと!」
頭を撫で撫でされて髪がぐしゃぐしゃになる。それをまた先輩が直した。
「楽器をやめたのは、ほんとにごめんな。でも、できるだけそっちもサポートする。泉名もいるし、ウチの研究会には心強い先輩が揃ってるからな」
「研究会は、あと何人いるんですか?」
「一年はまだお前だけだろ。あと三年が二人、二年が三人だから……現時点で九人だな。あ、三年にはもう一人吹奏楽部員がいるぞ。変なやつだけど、優しいから大丈夫」
多いのか少ないのか、基準が分からないから何とも言えない。それでも笑って頷いた。
「ありがとうございます。あと、あの……俺がさっき言ったこと覚えてますか」
「ん? 何?」
「先輩が、好きだって話です」
声を振り絞った。
拒否されるかもしれない。それでも繰り返した。
「迷惑かもしれないけど……俺はこれを伝えたくて、先輩と同じ学校に入ったんだと思います。思う、って言うのは……自分でもよく分からなくて、自信かなかったから。でも先輩と久しぶりに会えて、確信しました」
尋常じゃなく顔が赤い先輩に向き直って、ハッキリ想いを告げる。
「俺は先輩が好きです」
胸が痛い。
入学早々、我ながらなんて大胆告白だ。
拒否られたらこの後の学校生活は地獄の幕開け。
頭ではそう分かってるのに黙ってられない……なんて。俺は、先輩が好き過ぎる。
「先輩?」
けど、告白した以上、あとは素直に受け入れよう。
―――ダメだとしても。
告白しないよりは、自分の気持ちに区切りをつけて、整理できる。
そう思ったんだけど、先輩はまたしても顔を真っ赤にしてその場に倒れてしまった。
「先輩……」
気持ちはわかる。……けどちょっとピュア過ぎやしないか……。
そんな貴方が大好きだけど。