グラシアス・ヒル・コーポレーションには本物のアキレス腱があった。
それは、現社長でありわたしの父親でもある男が、中高生ほどの年齢の女子にしか興奮出来ないという度し難い変態であること。加えて、それが近親者であればあるほど興奮するというどうしようもない変態であること。
一部の社員には有名な話でね。父はたしかに芸能人の卵みたいな女の子に大金を渡しては対価として幼い肉体を差し出させるということをしていたの。
何度か反社会勢力の人にそのネタを掴まれかけて、脅してきた人にはリークした社員ごと消えてもらった。
世界に誇る大企業の社長がロリコンなんて許される話じゃない。昔ならまだ事情は違ったかもしれないけど、どこかの億万長者みたいにロリコンバレした企業人っていうのは、その後表舞台に立つのが難しくなる。
だからそのスキャンダルをすっぱ抜こうとしてくる奴らも必死だったし、グラシアス・ヒル・コーポレーション側もフィクサーみたいな人を雇ってポケモンみたいに悪党を討伐させていた。
それでも、すべての罠や刺客を防げるわけじゃない。何度か巧妙なハニートラップに父は引っかかりそうになったし、何度も危ない目に遭った時はあった。それでロリコンを卒業出来ればまだ良かったんだけど、性癖っていうのはそう簡単なものではなくてね……。
まるで覚醒剤の離脱症状みたいに、気付けば社長は幼い女の子を求めるようになっていった。
本当に、あれは病気だった。「もう娘ほどの年齢の少女には手を出さない」と宣言した直後に、すでに女子高生を追い回しているんだから。
このままでは取り返しのつかない不祥事が発覚する。そうなれば、経営が大丈夫でもわたしたち創業者一族は会社の中枢から追い出される可能性が出てくる。そんなことは許されない。それでも父の「病気」は治らない。
そこで父の思いついた「解決策」とは、わたしを少女たちの代用品にすることだった。
もともとわたしは母親の遺伝子を強く引き継いでいて、容姿だけであれば並みの美少女と出来が違った。加えて、父は相手が背徳的な相手であればあるほど燃えるタイプの変態だったから、わたし以外の適任はいなかった。わたしじゃなくて、父がそう言ったの。
前代未聞の禁忌を犯しながら、表舞台で父とわたしはごく普通の親子として日々を過ごしていった。
明らかに異常だった。周囲もそれを分かっていたはずなのに、止めようとはしなかった。それはわたしが供物となることで、会社全体の不利益を防ぐことが出来るから。
一人で何度も泣いた。「助けて」って言いたかった。だけどそれは許されないことだった。
わたしの中にある考えが浮かんだ。
こんな世界なら壊してしまえ。こんな人生ならさっさと終わらせてしまえ。生まれ変わったらきっともっと幸せな人生が待っている。
でも、それなら悪は滅ぼさないといけない。
世界に名を轟かせるグラシアス・ヒル・コーポレーションの社長がロリコンの変態だった上に、実の娘へ性的な危害を加えていたとなれば世界レベルのスキャンダルになる。
そのスキャンダルは間もなく世界中で投入されることになっている。映像も音声も残っている。AIだって使っていない。これを公開すれば、すべてが終わる。経緯もすべて、多言語で文章化して世界中へと発信される段取りがついている。
わたしたちが寝ている時間にその情報は投下されて、世界レベルの大火事でお目覚めになるの。なかなか素敵な朝の迎え方じゃない?
これを投下することで、わたしは自分の手でトリガーを引くの。
お願いだからそのさまを見ていて。わたしの人生が終わる瞬間をその目に焼き付けておいて。わたしはそれだけで満足だから。
それは、現社長でありわたしの父親でもある男が、中高生ほどの年齢の女子にしか興奮出来ないという度し難い変態であること。加えて、それが近親者であればあるほど興奮するというどうしようもない変態であること。
一部の社員には有名な話でね。父はたしかに芸能人の卵みたいな女の子に大金を渡しては対価として幼い肉体を差し出させるということをしていたの。
何度か反社会勢力の人にそのネタを掴まれかけて、脅してきた人にはリークした社員ごと消えてもらった。
世界に誇る大企業の社長がロリコンなんて許される話じゃない。昔ならまだ事情は違ったかもしれないけど、どこかの億万長者みたいにロリコンバレした企業人っていうのは、その後表舞台に立つのが難しくなる。
だからそのスキャンダルをすっぱ抜こうとしてくる奴らも必死だったし、グラシアス・ヒル・コーポレーション側もフィクサーみたいな人を雇ってポケモンみたいに悪党を討伐させていた。
それでも、すべての罠や刺客を防げるわけじゃない。何度か巧妙なハニートラップに父は引っかかりそうになったし、何度も危ない目に遭った時はあった。それでロリコンを卒業出来ればまだ良かったんだけど、性癖っていうのはそう簡単なものではなくてね……。
まるで覚醒剤の離脱症状みたいに、気付けば社長は幼い女の子を求めるようになっていった。
本当に、あれは病気だった。「もう娘ほどの年齢の少女には手を出さない」と宣言した直後に、すでに女子高生を追い回しているんだから。
このままでは取り返しのつかない不祥事が発覚する。そうなれば、経営が大丈夫でもわたしたち創業者一族は会社の中枢から追い出される可能性が出てくる。そんなことは許されない。それでも父の「病気」は治らない。
そこで父の思いついた「解決策」とは、わたしを少女たちの代用品にすることだった。
もともとわたしは母親の遺伝子を強く引き継いでいて、容姿だけであれば並みの美少女と出来が違った。加えて、父は相手が背徳的な相手であればあるほど燃えるタイプの変態だったから、わたし以外の適任はいなかった。わたしじゃなくて、父がそう言ったの。
前代未聞の禁忌を犯しながら、表舞台で父とわたしはごく普通の親子として日々を過ごしていった。
明らかに異常だった。周囲もそれを分かっていたはずなのに、止めようとはしなかった。それはわたしが供物となることで、会社全体の不利益を防ぐことが出来るから。
一人で何度も泣いた。「助けて」って言いたかった。だけどそれは許されないことだった。
わたしの中にある考えが浮かんだ。
こんな世界なら壊してしまえ。こんな人生ならさっさと終わらせてしまえ。生まれ変わったらきっともっと幸せな人生が待っている。
でも、それなら悪は滅ぼさないといけない。
世界に名を轟かせるグラシアス・ヒル・コーポレーションの社長がロリコンの変態だった上に、実の娘へ性的な危害を加えていたとなれば世界レベルのスキャンダルになる。
そのスキャンダルは間もなく世界中で投入されることになっている。映像も音声も残っている。AIだって使っていない。これを公開すれば、すべてが終わる。経緯もすべて、多言語で文章化して世界中へと発信される段取りがついている。
わたしたちが寝ている時間にその情報は投下されて、世界レベルの大火事でお目覚めになるの。なかなか素敵な朝の迎え方じゃない?
これを投下することで、わたしは自分の手でトリガーを引くの。
お願いだからそのさまを見ていて。わたしの人生が終わる瞬間をその目に焼き付けておいて。わたしはそれだけで満足だから。