浩国は息が切れかけているものの、目の光はよりぎらぎらと鋭さを増しつつあった。

（うん、本人のやる気を信じよう。それにあと少しだ）

　春蘭もほんの少し息が切れそうになったが、深呼吸して紛らわせつつ、何とか皆1周走り切る事が出来たのだった。

「はあ……」
「皆さんお疲れ様です。少し休憩してまた再開しましょう！」

　浩国らは他の兵士達が持ってきた水を飲み、息を整える。

「……春蘭はきつくないのか？」
「ああ、私は……大丈夫でございます」

　にこっと笑った春蘭を浩国は目を細めながら見つめる。

「……俺も負けてはいられないな」
「その調子でございます」

　それからもうしばらくランニングをした彼らは建物に戻って朝ご飯を食べる。春蘭は着替えてお化粧と髪結いを済ませた時、馬族の者が来た！　と兵士から報告が入って来たのだった。

（いよいよ来たね……緊張してきた）