「春蘭。明日の朝、俺と一緒に走り込みをしないか? そなたからも色々教わりたい」

 浩国が少しだけ顔を紅潮させながら、春蘭に向けて語った。

「もちろん、ご一緒させてください」
(ぶっちゃけこっちからあれこれ言うんじゃなく、向こうから誘ってくれるのは嬉しいなあ……)
「決まりだな。じゃあ、また明日」

 浩国と別れて自室の隣にある浴室で汗を流した春蘭は、早めに床に就いた。布団をかぶるのと同時に目をつむるくらいの速さである。

(ここから負荷をどんどんかけていかなきゃね)

 翌日、夜明け前に春蘭は自然と目が覚めた。寝間着から動きやすい作業着へと着替えるとちょうど上半身裸の浩国が配下の兵士を伴って、春蘭の前へと現れる。

「お、おはようございます! 陛下!」
「春蘭。準備は出来たか? ならとっとと行くぞ」
(いや、気合入りすぎてる!)

 とは言いつつも彼がやる気に満ち溢れているのは計画を進めるにあたってとても嬉しい事なのは事実。春蘭は早速浩国達と共に建物の外へ出ると、巨大な壁沿いまで歩いて移動する。

「皆さん。改めておはようございます。走り込みの前に軽く身体をほぐしておきましょう」

 兵士達のはい! という大きな声が、びりびりと虎楼城中に響き渡る。