浩国の説明をまとめる。
 現在馬族を率いるのは麗美(リーメイ)。年齢は28歳で黒い瞳と長髪に雪のような白い肌が自慢の美しい族長だ。

(やはりゲームと同じか)

 麗美はゲーム・幻彩の後宮でもたびたび登場し、浩国達を苦しめてきた女性キャラクターだ。どちらかというと背が高い部類で、華奢な身体つきだが、戦闘能力はとにかく凄まじい。
 更に黒ずくめの衣装を身に纏う彼女のインパクトは、強く花音の脳裏にも刻み込まれている程だった。

(配下はおデブ……いや大柄な女の人だらけだから、余計に麗美の華奢さが目立つって感じだったなあ。華奢と言っても出てるとこは出てるんだけどね)

 説明が終わると浩国は春蘭へ何か質問はあるか? と尋ねてきた。

「ああ、それではひとつだけ。麗美様の好物はご存じでしょうか?」
「それは……俺も聞いた事が無い。また交渉の場で聞くしかないな」
(やっぱりそうなるか。仕方ない)
「かしこまりました。そのように致します」

 浩国はすまない。と返すと春蘭はいえ……。と口に出す。

「ああ、これから夕餉を取ってそれから少しの間武術の稽古に入ろうと思う」
「そうなのですか、陛下」
「そこで、良かったらそなたも一緒にいてほしい」