「金賢妃様。どうぞ虎楼城へとお入りくださいませ」

 兵士や女官達に付き添われ、春蘭は虎楼城へ歩を進める。彼女の前には鹿毛の馬に跨った浩国や雄力の姿もある。城の正門がゆっくりと開かれると、地面を踏みしめながら城内へとたどり着いた。
 城内は建物がいくつかあるのだが、その周りをビル位の高さがある白壁が二重に囲っている。壁には所々四角い穴が開いており、そこから弓矢で攻撃が出来る仕組みになっている。

(要塞って感じだ。すんごい……)

 春蘭は城内にある建物の中に入ると、そこで先に建物の中に入った浩国と目が合う。

「陛下! な、長旅お疲れ様でございました……!」
「ああ、春蘭、元気か?」
(元気なのは元気だけど、全身のあちこちが痛い……)

 とはいえ、御輿に乗ったせいで全身が痛いというのはとても言い出せなかったので、春蘭は作り笑いを浮かべ大丈夫です。と答えたのだった。

「疲れただろう。もう夕方だし休憩すると良い。馬族が来るのは明日。それまでに疲労を……」
(いや、休みたいけどその前に……)
「彼女達について、調べとうございます」
「……! そうか。なら俺達で良ければ話をしよう」

 春蘭はありがとうございます。と頭を下げる。そして早速広間にある朱塗りの円卓に座り、浩国からの説明を聞く事になった。

(ゲームで馬族がどんな感じかある程度は知ってるけど、この世界でもその通りかどうか確かめておきたい)