(顔はいいんだけど、身体つきがなあ……)

 浩国は確かに美男子。ゲーム中でもトップクラスの顔面だ。だが、彼の体格は華奢でひょろひょろとしているのである。
 彼含め攻略可能な男性キャラクターには、上半身裸のスチルが最低でも1枚は存在するのだが、浩国の上半身は筋肉質ではなく、服越しでもわかるくらいにただただ華奢で細いといった具合なのだ。
 確かに彼の腹筋は縦に割れ目があるが、同時に肋骨がやや浮き出ているくらいの痩せ具合。それが良い! というファンも大勢いるのだが花音もとい春蘭からすれば刺さらないどころかむしろ不満のある身体つきと言える。
 
(転生しても身体つきは変わってないかあ……残念)
「金賢妃、どうしたのだ?」
「あっ、いや……さきほど目が覚めたばかりですので、その……」
「頭が動かないのか。無理するな」
「陛下……」
「めまいを起こして倒れてしまったら、元も子もない」
(でも、中身はそのまんまだ。クール系だけど優しくて良い子……)

 浩国は踵を返し、部屋から去っていった。春蘭は散歩でもしようと考えたが身体の節々に痛みがある為、今日はこのまま寝転がっていようと考えを改める。

(これからどうして過ごそうかなあ……)