「あっという間に感じました。金賢妃様」
「私もです。あ、勿論夕食は頂きましたよ」

　実は女官達は厨房内に設けられた席で浩国達に出されたのと同じ品を頂いていたのだった。
　しかし春蘭は今回はまだ食事を頂いていない状態である。

「……お腹空いてきました」

　苦笑いを浮かべながらお腹をさする春蘭の言葉に、女官と厨房の宮女がぜひ厨房に来てください。と誘う。

「ではちょっと失礼しますね」
（でも、もう食材は残っていないかも）

　厨房内をのぞいて回るが、ほとんど食材は残っていなかった。だが、叉焼だけはまだ数人分余っているのが確認できる。

（炒飯でも作るか）
「あの、すみません。ご飯と卵は無いですか？　あと玉ねぎもあったら」
「金賢妃様。ご飯はありますがもう冷えて固まってしまっております……」
「大丈夫です。炒めますから」

　春蘭は宮女から材料を頂くと、早速炒飯作りに取り掛かった。

「まずは、卵かけご飯を作ろう」

　鉢に冷えたご飯と卵を入れ、箸でかきまぜて卵がけご飯を作っておく。そして玉ねぎを目を刺激するきつい香りに耐えながらみじん切りにすると、中華鍋に油を注いでから火をつける。

「まずは玉ねぎから炒めて……と」