春蘭を見た宦官達も、同じように鍋の蓋を開ける。

「おお……!」
「雑炊……! はたしてどのような味わいなのか」

 女官達の手により用意された白いレンゲで、白い小さな器へと雑炊を入れて冷ましていく。

「春蘭。もう、食べて良いだろうか」
「はい。陛下、熱いのでお気をつけて」
「ではいただこう……美味しい」

 浩国は目を見開きながら雑炊をもふもふと頬張る。

「これは美味しい。朝食で頂くもの以上に、うまみが効いている」
「ほ、本当でございますか?」
「ああ、春蘭。これは美味しい。食べ飽きない味わいだ」

 宦官達からも美味しい! だとか、だしの風味が素晴らしい! などという好印象な声が続々と沸き起こった。

「喜んでくださり、何よりでございます!」

 春蘭の言葉に浩国は穏やかな笑みを向けた。

「そなたが作る料理がまたひとつ好きになった」
「!」
(そんな、なんか告白みたいじゃん! でも嬉しい!)

 こうして、夕餉は幕を閉じていく。
 去り際、浩国は春蘭に話がある。と告げた。

「またそなた達の作る料理を食べに来たい。いいか?」
「はい! ぜひお越しください!」