「どうぞ、こちらへ」
「ああ……」

 大広間に到着した浩国は生け花達を見つめる。

「綺麗だな」
「女官の方々が準備し、周充儀にも確認をお願い致しました」

 周充儀と雪は、いつの間にかどこかへと消え去っていた。

(帰ったのかな)

 席に座った浩国の元に早速女官や宮女によって料理が運ばれる。

「おお……」

 浩国の目は大きく見開かれている。宦官達も珍しいものを見るかのような視線を料理を運ぶ女官達へと向けた。

「鍋か」
「さようでございます。陛下」

 浩国の目の前に、金色の鍋が置かれた。鍋の中にはネギや葉野菜としゃぶしゃぶ用の豚肉に鳥つくねが入っている。

「こちらもどうぞ」

 女官が浩国の元に差し出したご飯の上には刻まれた叉焼が乗っている。

「叉焼か?」
「はい。硬くなりすぎないように仕上げ、さらに薄く切り刻みました」
「そうか……あれ、ご飯の量は少なめだな」
「そこには仕掛けがございますので」

 春蘭はにやりと笑った。