料理人達は手際よく豚肉を塩や砂糖、酒に醤油が入った壺の中に豚肉の塊を漬け込んだ。

「しばらく漬け込んだら、専用の炉で蒸し焼きにしていきます」
(ほほう、茹でるんじゃないんだな。ちゃんと覚えておいて後でメモしておこ)
「柔らかめに仕上げるので合ってますかね?」

 春蘭ははい、それでお願いします。とにこやかに返す。

「となると、そこまで焼き過ぎないようにせねばなりませんね……気を付けながら焼きます」

 しばらく経過すると、壺から豚肉を取り出し、串に刺して専用の炉で蒸し焼きにしていく。

「出来上がりました」

 料理人の手により、調理台にどかっと叉焼の塊が乗せられた。前回と比べても一目瞭然と言えるくらいの出来の良さである。

「どれくらい薄く切りましょうか」

 彼からの質問に、春蘭はこれくらいです。と指をさして指示をする。

「結構薄く切るんですね」
「そうなりますね。ではお願いします」
「はい、切りますよ――」

 ざくざくと切られ、白いお皿の上に華が咲くように叉焼が盛り付けられた。

「金賢妃様。味見をお願いします」
「はい、では頂きますね……」

 叉焼を一切れ、箸で掴んで口の中に入れる。薄く切った事で硬さはそこまで気にならない程度にはなっていた。