「金賢妃様! 勿論でございます!」
「陛下にお喜び頂けるように、私達も精一杯励みます!」
「陛下にお料理を作って差し出す……! 何という嬉しさ!」
(あ、あとで浩国直属の料理人達にもお手伝いをお願いしに行こうかな。彼らの力もお借りしたいし、なんか仕事奪ってるみたいで申し訳ないし……)

 翌日の朝。いつもより早めに起床した春蘭は着替えると雑炊を食べながら、お化粧と髪結いを施してもらう。
 そして皇帝直属の料理人達がいる厨房に、今日の夕餉について話しをしに行った。

「まことでございますか」
「そうでございます。という事でもしよろしければお手伝いをお願いしたく……」
「勿論でございます。陛下のお妃と料理が出来るのはとても光栄に存じますから!」
(よし、決まったな)

 料理人達と必要な食材の打ち合わせをした後は、そのまま厨房を借りて叉焼の試作に取り掛かる。前回試作した際は思ったよりも不格好になってしまったのでもう一度確認したい気持ちが春蘭には強くあった。

「えっと、調味料とお肉と、あとは……ネギと」
「叉焼つくるのですか? 陛下は叉焼あまり好まれないと聞いた事がありますが……」

 そばを通りがかった宮女からの言葉に、春蘭は嘘でしょ?! もっと早く知りたかった! と思いながら口を開く。

「はい、しかしながら柔らかく、薄めに切って提供すれば頂くかもと思いまして……」
「なるほど。では私達が作ってみましょう。いずれは作らなければならないでしょうからね」
(前回は失敗したし、今回はとりあえずお願いしてみようかな)
「いいですか? お願いします」