「まだ混乱しておるようでございますが、ひとまずは峠は越えたと見てよさそうですな。ほっと致しました……」
「そ、そうでしたか……」
「金賢妃様。こちら痛み止めの薬にございます」
医者が黒い箱に収められた緑色の丸薬を春蘭に見せた。
(わ、なんか毒々しい色してる……)
「ありがとうございます」
医者が頭を下げ、部屋から退出していく。彼を目で見送った春蘭は、右横の机に黒漆に螺鈿の装飾が施された手鏡が置いてあるのを発見した。
(試しにどんな見た目をしているか確認してみよう……)
手鏡を持った春蘭は、おそるおそる鏡に映る自身の姿を覗き込む。
「わ……!」
黒いツヤツヤとした髪に、色白の肌。ぱっちりとした二重に紺色の瞳に鼻筋の通った顔つきと、まさに中華風の美人顔だ。
「めっちゃ綺麗じゃん……!」
鏡に映る自分の顔を見つめ続ける春蘭へ、女官達はまだ混乱されているご様子ね……。と小さく呟く。
もちろんそのつぶやきは春蘭の耳に届いていた。
「正直に言います。混乱してます」
「金賢妃様! さ、さきほどはご無礼を……!」
慌てて謝罪する女官達を、金賢妃はまあまあ……となだめる。
「た、多分頭を打ったからだと思います……!」
(さすがに転生とか言っても信じないだろうから、嘘つくしかない!)
「そ、そうでしたか……」
「金賢妃様。こちら痛み止めの薬にございます」
医者が黒い箱に収められた緑色の丸薬を春蘭に見せた。
(わ、なんか毒々しい色してる……)
「ありがとうございます」
医者が頭を下げ、部屋から退出していく。彼を目で見送った春蘭は、右横の机に黒漆に螺鈿の装飾が施された手鏡が置いてあるのを発見した。
(試しにどんな見た目をしているか確認してみよう……)
手鏡を持った春蘭は、おそるおそる鏡に映る自身の姿を覗き込む。
「わ……!」
黒いツヤツヤとした髪に、色白の肌。ぱっちりとした二重に紺色の瞳に鼻筋の通った顔つきと、まさに中華風の美人顔だ。
「めっちゃ綺麗じゃん……!」
鏡に映る自分の顔を見つめ続ける春蘭へ、女官達はまだ混乱されているご様子ね……。と小さく呟く。
もちろんそのつぶやきは春蘭の耳に届いていた。
「正直に言います。混乱してます」
「金賢妃様! さ、さきほどはご無礼を……!」
慌てて謝罪する女官達を、金賢妃はまあまあ……となだめる。
「た、多分頭を打ったからだと思います……!」
(さすがに転生とか言っても信じないだろうから、嘘つくしかない!)