「やはり俺は無理をし過ぎていたのかもしれない」

　浩国からもたらされた唐突な言葉に、春蘭は陛下？　と返すのがやっとだった。

「皇帝という立場になってから、俺はそれに答えようと……頑張って来たんだ」
（あ、このセリフ見た事あるぞ。浩国推しのフォロワーのスクショで）

　ちなみにこの浩国のセリフは、ゲームにおいては彼を攻略していく事で見る事が可能である。

「陛下、お気持ちは理解できます。しかし無理をされた身体を壊してしまえば元も子もありません。ですから、ご自身のお身体は大切に労わってくださいませ」
「春蘭……」
「私はあなたのお身体をお支えします。私が言うのもなんですが、共に励んでまいりましょう」
「……ああ、ありがとう」

　浩国は春蘭の両手の上に自身の手を重ねた。その手はほんの少し冷たい。

（冷たいなあ……）

　その後は互いに温かいお茶を飲みかわしながら、後宮のおすすめの場所などたわいのない話をした。
　浩国がお気に入りの場所は、今いる東屋と、中庭にある小さな森の中にある広場。後者は秘密基地のようで落ち着ける場所なのだと語っている。また、彼が話したこの内容はゲームの会話と同じものだった。

（なんだか、チート使ってるみたいだな……。自分浩国は未所持だったし）