「出来た!」

 チーズ乗せハンバーグが完成すると、宮女や女官達が一斉に春蘭の方へと視線を向けた。

「金賢妃様、こちらは何でございましょうか?」
(どうしよ、ハンバーグは洋食だから言っても通じないよね)
「えっと……干酪(チーズ)乗せの焼きつくねでございます!」
 
 春蘭からの紹介に、女性達は目を輝かせながらおおっ! と歓声をあげる。春蘭はつくねでも意味合いが通じた事にほっと安堵した。

「い、頂いても構いませんでしょうか?」
「ぜひぜひ! この揚げ物もどうぞ!」
「ありがとうございます!」

 という事でまだ夕餉を頂いていない宮女達を筆頭に、春蘭が作った料理の試食会が行われる事となった。

(つみれと叉焼は明日にでも作ろ)

 喜びながら春蘭の作った料理を食べる女性達には笑顔の花が咲き乱れていた。春蘭はその様子を見てほっと安堵の表情を浮かべる。

「金賢妃様、皆喜んでおいででございますね」
「はい。嬉しいです」
(とりあえず浮かれてないで反応を見てみよう)

 試食した者からはご飯にあう! という声を中心に、食べ応えがあるけど硬くはなくて食べやすいとか、しっかりと火にかけているおかげか思ったよりも生臭さを感じない。と言った声があがる。

(これはいいんじゃないかな? 肉料理だけでなく魚もどうにかしないとね)