ハンバーグを作る為に玉ねぎをみじん切りにし始めた春蘭はここで、ある事をひらめく。

（そういえばハンバーグをミートソーススパゲティにリメイクする……。みたいなのあったな。という事はご飯だけでなく麺系ともあうんじゃない？　あ！）

　春蘭の驚きっぷりに、肉をひき肉に加工していた宮女が思わず小さいけれど確かな驚きの声を挙げた。

「金賢妃様、いかがなされましたか？」
「あっ！　い、いえ、ちょっとひらめいただけです！　びっくりさせちゃってすみません！」
（そうだ。魚……たらこスパゲッティはどうよ？　魚の身じゃなくて魚卵になっちゃうけど……あ、それと鮭を使ったスパゲッティもありか……！　あ、あと、叉焼作るなら、チャーハンにラーメン……うわ、めっちゃ思いついてきた！）

　だがあまりにひらめきが多かったので、少しだけ春蘭の脳内は混乱状態に至りそうになる。しかもそこへ玉ねぎの刺激が襲い掛かって更に火に油を注ぐような事態となるが、そこを春蘭がなんとか制止させた。

（とりあえず今はひき肉料理に集中しよう。叉焼とかは後だ後！　なんなら明日でもいい！）

　己に何度も言い聞かせながら、玉ねぎを茶色くなるまで炒め、宮女の手により加工されたひき肉を受け取り、細かくちぎったパンと卵と塩とこしょうを入れて鉢の中でこねていく。