それから浩国は春蘭達が手掛けた料理の九割を頂いたのである。本人もここまでの量を食べるのは記憶にないと語る程だった。

「いやぁ、食べすぎた……」
(量も徐々に増やしていけば、健康的な身体つきと体重になっていくはず)

 こうして宴はあっという間に終わり、妃達は皆自室へと戻っていった。

「お疲れ。春蘭」
「いえ、陛下。お楽しみいただき光栄でございます」
「ああ。そなたのおかげだ。またそなたの手料理をいただいてもいいか?」

 浩国からの願いに、春蘭は迷う事無くはい! と返事をする。

「……あ、陛下の料理番の者達へ此度の品々を記した紙をお渡ししますね」
「そうか。助かる。では」

 浩国が宦官達を引き連れて、広間から去っていく。彼の華奢な背中が消えるまで見送った春蘭は、女官達とともにお皿を回収していった。

「皆様、ほとんど完食なされていますね」

 女官の言葉に春蘭はそうですねぇ。と返す。

「料理を作って振る舞うのって、こんなに楽しいのですね」
「そうですね。とても楽しいですよね」
「はい! やりがいもあって楽しいです!」

 やりがいを感じた表情を見せた女官達を見た春蘭は、満足そうな笑顔を浮かべたのだった。

(浩国の肉体改造計画はまだ始まったばかり。こっからもっと頑張らなきゃね!)