妃達は並べられた料理の数々を目にしながら箸を取る。

「ん、水餃子とても美味しい。具だくさんで食べ応えがあるわね」
「炊き込みご飯が頂けるとは……こちらも具がぎっしりあって良いわね」
「野菜がたくさん取れて良い感じだわ」
「こんなに野菜がふんだんに使われているなんて……あとほうれん草酸っぱくて身に沁みるわ……。味がきゅっとしてるのが癖になっちゃう」

　妃達からの評判は上々だ。

（浩国はどうかな？）

　浩国の隣に座る春蘭はじっと彼の様子を見守る。彼が最初に口をつけたのは水餃子のスープだった。

「……ちょうど良い味だ。スープは薄味な時が多かったからこれくらいでいいかもな」
「お褒めいただき光栄でございます」
（覚えとこ）

　水餃子を食べる浩国の顔は次第に穏やかなものへと変わっていく。

「癖が無くて良いな」
（山菜刻んだの少しだけ入れたけど……気がついてなさそうかな？）

　次に浩国が視線を向けたのはほうれん草の和え物だった。

「ほうれん草か……」
「お嫌いでございますか？」
「あまり好みではないが……そなたが作ってくれたのだ。頂こう」

　浩国はほうれん草の和え物をひと口分箸で掴むと、口の中に入れる。

「ん……？」