「わ、私にできるかな……で、できるでしょうか……」

 完全に自信を喪失してしまっている彼女へ、春蘭はかける言葉をなんとか脳内で探す。

「えっと、最初は誰だってそうです! 私も怪我したりしましたし! で、でも出来るようになったら楽しいと言うかやりがいはあったので……!」
「金賢妃様……」
「だから、安心してください!」

 女官は目を潤ませながら、何度も確かめるように頷いた。

「金賢妃様のおっしゃる通りでございますね……! ありがとうございます! 頑張ります!」
(自信取り戻せたかな?)

 こうして春蘭達は力を合わせて、料理を作り上げたのだった。
 会場である大広間にはすでに妃達が訪れている。その中には白徳妃や周充儀に雪の姿もあった。白徳妃も周充儀も他の妃達も皆美しく着飾っている。

(わ、結構来ているじゃん)

 物陰に隠れて会場内の様子を伺う春蘭の胸の中には緊張感が浮かび上がっていた。

(でもこんな所で緊張していちゃだめだ)

 春蘭は急いで厨房へと戻る。厨房ではすでに盛り付けがはじまっていた

「金賢妃様。盛り付けはこのような感じでいかがでしょうか?」
「はい、とてもいい感じかと思います!」

 盛り付けの確認を進めている時だ。

「陛下がお越しになりました……!」