「炊き込みご飯でございますか」
「ええ、周充儀。作ってみようかなって……」

　少し驚きの表情を見せていた周充儀の顔はふっと穏やかに笑みに変わった。

「勿論野菜と鳥肉はみじん切りにして、そして味つけも濃い目……という具合でしたら喜んでくださると思います」
「教えてくださりありがとうございます」
（濃い目ね。よし、餃子は水餃子だからスープにしちゃおう）

　スープのだしにはポン酢づくりで使った昆布のだしを使用する。濃すぎず、薄すぎない。どちらかと言えば濃い目の味付けに仕上げ、炊き込みご飯も完成すると、ちょうど昼餉の時間となったため春蘭は女官や周充儀に雪らへと完成した試食品を振舞う事にした。

「では、いただきます……」

　まず春蘭が口にしたのは水餃子のスープ。ぷりっとした水餃子を口の中で噛み締めるとじゅわっと肉汁が広まった。

（ん、これは美味しい！　野菜と肉のバランスはこんな感じでいいかな！）
「ん――！　これは美味しゅうございます、金賢妃様！」
「食べ応えがありますねえ」

　スープを食べた女官達からは、美味しいとの声が上がったので春蘭はよしよし。と心の中でつぶやく。
　春巻きもちょっと油が多すぎたものの、刻まれた野菜と衣がさくっとした食感を演出してくれていて美味に仕上がっている。しかし周充儀は少しだけ首を傾かせていた。

「この春巻き、もしかしたら陛下はお気に召さないかもしれませんわ」