(ん、酸っぱさもいい感じに出ていて美味しい。柚子ポンならほうれん草の味わいも隠せるかもね)

 ほうれん草のポン酢和えが完成し、試しに女官達や周充儀に雪にも食べて貰う。

「金賢妃様、きゅっとした味わいが癖になりますね」
「とても美味しゅうございます」

 女官達から肯定的な言葉が上がる。周充儀はうんうんと確かめるように首を縦に振った。

「……ええ、美味しゅうございます。酸っぱすぎない味わいと感じます。これなら、陛下も美味しく頂けるのでは無いかしら?」
「私も美味しいと思いました……! ね、周充儀様美味しいですよね!?」
「雪もそう仰る事だし、これは良いと思いますわ。金賢妃様」
「みんな……! ありがとうございます!」

 掴みは上々。
 この調子で他の品も作っていく。餃子と春巻きづくりは、春蘭付きの女官達や厨房担当の宮女も手伝ってくれ、彼女達は楽しそうにすりこぎ棒で肉をすりつぶすなどしていた。

(ちょっと揚げ物が多いかな……? でもほうれん草のポン酢和えでさっぱりと食べる事が出来るかもしれない)

 次に春蘭は炊き込みご飯づくりに挑む。

 ――まず好きなものから参りましょう。みずみずしい果物と、柔らかく煮て味を濃い目に付けた鳥肉。そして炊き込みご飯でございます。

 宇翔の言葉が春蘭の脳裏によぎる。