浩国が食べた品以外も食べて味や食感の確認を進める春蘭へ浩国は美味しいのか? と問う。

「わ、私はとても美味しいと思います……」
(さすがにまずいなんて言えないよ!)

 春蘭の返答に対し、ふぅん……。と返す浩国に、白徳妃はねえ。と甘い声で語りかける。

「陛下は好きなものだけ頂いていれば良いのですよ。無理なさらなくて結構です」
「白徳妃……」

 浩国を甘やかすような声かけに、春蘭は一瞬ドキッと胸が弾んだかのような感覚とほんの少しだけ嫌悪感を覚える。

(やっぱり見た目通りな甘やかし系かあ……? あんまり甘やかしすぎるのも良くないと思うんだけどなあ)

 しかし、浩国は首を左右に振った。まるで白徳妃の甘い声を振り払うかのようにも見える。

「……食べられるものは、食べる」

 そう言って浩国は、魚の唐揚げをひと思いに口にした。

(……私の言葉に、何か考えさせられるものでもあったのかな)

 しかし浩国は、唐揚げを半分かじった辺りで一瞬顔をしかめる。だが、そのまま全て口に入れて飲み込んだ。
 浩国に対し白徳妃が無理はしてはなりませんよ……。と心配そうに声をかける。白徳妃が浩国の腕を撫でる場面を春蘭はじっと見つめた。

(……浩国に克服する気持ちはちゃんとある)

 金賢妃は椅子から立ち上がると、浩国に目線を向けた。